NAS DiskStationの導入 #24 空き容量の低下とボリュームの拡張 1

SynologyのDiskStationを2拠点で利用しています。この2台のDiskStationを使い、どちらかの拠点が災害にあってもデジタルデータを保持できるようにしています。このデバイスを使い始めて3年くらい経過しますが、空き容量低下の警告が表示されるようになりました。そこで、ボリュームの拡張を検討します。今回は「NAS のボリューム拡張」の「計画編」です。

この投稿は、Synology NAS のDSMはバージョン 7.2.1-69057 Update 4 を利用して作成しています。DSM のバージョンが異なる場合は、画面や操作方法など説明の内容が一致しないことがあります。

2台のSynology NAS

SynologyのNASである以下のDiskStationを2拠点で利用しています。

NASデバイス: DS1520+ (5 bay NAS)
HDD: Seagate IronWolf Pro 8TB x 2

2台のNASは、同じ機種でSynology NAS のDS1520+でHDDベイが5個あるモデルです。

2台のNASデバイスは、それぞれ8TBのHDDが2台の構成です。RAID1 (ミラーリング)で構成しているため、利用可能容量は16TBではなく、約8TBです。

250km以上離れた二つの拠点にこのDiskStationを1台づつ配置し、データを自動複製・同期し、どちらかの拠点が災害にあってもデジタルデータを保持できるようにしています。

なお、現在ではDS1520+ は販売されておらず、その後継機種である DS1522+ に置き換わっているようです。Synology NAS 製品のモデル番号は、最後の二桁が製品発表時の西暦の下二桁に相当するので、2020年モデルは販売終了となり、2022年モデルに置き換わっていということですね。

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Synology NAS から警告の通知

この2台のNASデバイスを使い始めて3年くらい経過します。

ある日、デバイスから「利用可能な容量低下」の警告の通知メールが届きました。

NAS デバイスからの通知メール

NAS デバイスから直接メールが届くのは、Synology NAS デバイスのOSである Synology DiskStation Manager (DSM)に、エラーや警告等の状態になったときに、通知メールを送信する機能があるからです。

NAS デバイスから通知メールを送信するためにNAS上にメールサーバーアプリのインストールは必要ありません。通常のメールクライアントで設定するのと同様に、送信するためのメールサーバーの情報を設定すると、NAS デバイスから直接送信されます。また、Synology の通知メールサーバー経由で送信することもできます。

「利用可能な容量の低下」のときは、以下のような警告の通知メールが届きます。

Subject: [NAS-DS-2] NAS-DS-2 上のボリューム 1 で利用可能な容量がなくなりかけています
From: DS1520+ <nas2@mycompany.com>
To: <system@mycompany.com>

nishy-DS-2 上のボリューム 1 で利用可能な容量がなくなりかけています。ボリュームの使用量をモニターしてください。ボリューム サイズを拡張する場合、追加ドライブを加えるまたは既存のドライブをより大きい容量のものと交換することができます。

合計容量:7149.54 GB
利用可能な容量:1427.60 GB (19.97%)

送信元 NAS-DS-2

メールのタイトルの接頭語 ([NAS-DS-2])、メールの送信元 (DS1520+ <nas2@mycompany.com>)、送信先 (<system@mycompany.com>)は、DSM の通知メール設定で任意の値に設定できます。

上記のメールからわかるように、既定では利用可能な容量がボリュームサイズに対して20%を下回ると、警告が発行されます。上記は、NAS から直接メールが送信されたものです。

Synology Active Insight からの通知メール

Synology アカウントで、Synology Active Insight のWEBサイトに登録していると、そちらからも通知メールが届きます。このメールはNASから直接送信されるのではなく、Synology のサイトのメールサーバー経由で送信されます。

Subject: [Warning] Volume 1 in low capacity - NAS-DS-2
From: Synology Active Insight <sns@synologynotification.com>
To: <system@mycompany.com>

Host
NAS-DS-2 (20A0XYFFG3DDG) 
 
Event detected at
2024/03/05 00:14
 
Action advisory
Delete unnecessary files or expand volume space.
View the details on Synology Active Insight.
 
Troubleshooting steps

Check the volume usage and its distribution.

To expand your storage capacity, you can add or replace a drive.

Active Insightからの通知メールには、残り容量がどれくらいであるかの情報はありません。この通知をトリガーにして、Active Insightのサイトで確認するか、NAS デバイスのDSMで確認します。

ボリュームサイズの拡張の計画

さて、通知メールにあるように、

合計容量:7149.54 GB
利用可能な容量:1427.60 GB (19.97%)

残りの利用可能な容量は全体の20%未満になりますが、サイズ的にはまだ1.4TB程度の空き容量があります。

現在の利用中のサイズは5.7TBであり、これを3年間で使用したことになります。そのため、1年あたり利用量は2TB弱増えていることになります。残り容量から想定するとあと半年以上は持ちそうですが、1年間では足りない計算となります。

そこで、ボリュームの拡張を計画します。

今回のボリュームサイズの拡張では、現行のボリュームのサイズを2倍程度に拡張することを計画します。

ボリュームの拡張方法

ボリュームの拡張方法には2種類あります。

  • 現在使用しているHDDを大きいサイズのHDDに入れ替える
  • 現在使用しているHDDと同じサイズのHDDを1台増やす

現在の2台のNASは、HDDの構成は同じで、2台の8TB HDDでRAID1 (ミラーリング)の構成にしています。

そのため、全体としては、8TB HDDを4台使用していることになります。また、HDDとしては、Seagate の IronWolf Proシリーズを利用しています。このIronWolf Proシリーズの製品保証は、5年間です。現在、使用期間が約3年間なので、まだ十分に利用できます。

使用中のHDDを大きいサイズのHDDに入れ替える

前者の「大きいサイズのHDDに入れ替える」方法でボリュームを拡張した場合、4台の8TB HDDをより大きいサイズの4台のHDDに入れ替えることになります。ボリュームのサイズを現状の約2倍にしたい場合は、新たに4台の16TB HDDを用意することになります。

この方法では、ボリュームの拡張後は今まで使っていたHDDは使わないことになり、経済的ではありません。

NAS に空きHDDベイがない場合は、この方法しかありません。

しかし、現在使用しているNASのDS1520+には、HDDベイは5個あります。使用中のHDDベイは2個のみで、3個は未使用です。そのため空きHHDベイを使った拡張をすることができます。

使用中のHDDと同じサイズのHDDを1台増やす

後者の「同じサイズのHDDを1台増やす」方法でボリュームのサイズを拡張する場合、NAS に空きHDDベイが必要です。この方法でボリュームを拡張した場合、2台のHDDで構成された2台のNASに同じのサイズのHDDをそれぞれに1台ずつ追加することになります。8TB HDDでRAID1(ミラーリング)で構成されたボリュームのサイズを現状の2倍にしたい場合は、新たに1台の8TB HDDを追加し、RAID5(パリティ分散)に構成変更することになります。

この方法ではボリュームのサイズの拡張後もすべてのHDDを引き続き利用することになります。また、新規に用意するHDDは、既存のHDDのサイズと同じサイズでよく、また2台のみと経済的です。

ボリューム拡張の構成1

そこで、今回は、NAS の空きベイを利用して、それぞれのNASにHDDを1台ずつ追加することでボリュームの拡張をすることにします。

新たに用意するHDDは、8TB HDDが2台です。

8TB HDD x 2 (RAID1) → 8TB HDD x 3 (RAID5)

それぞれのNASはHDDが2台構成から3台構成に変わるため、RAIDの種類もRAID1 (ミラーリング) から RAID5 (パリティ分散) に変更します。

現在のNASで使っているHDDは、Seagate のNAS 用 HDDである IronWolf Proシリーズです。

具体的には、

Seagate IronWolf Pro 8TB ST8000NE001

です。NAS を構成した当時は、上記の製品が現行モデルでした。それから3年間経過しているので、このモデルには後継機種がリリースされています。

後継機種は、

Seagate IronWolf Pro 8TB ST8000NT001

となります。

NAS 用 HDDの価格の確認

2024年3月10日時点のIronWolf Proシリーズの8TBと16TBの値段は以下の通りでした。

IronWolf Pro製品容量価格1TBあたりの価格
Seagate IronWolf Pro 8TB
ST8000NE001 (旧モデル)
8TB34,992円4,374円 / 1TB
Seagate IronWolf Pro 8TB
ST8000NT001 (現行モデル)
8TB38,880円4,860円 / 1TB
Seagate IronWolf Pro 8TB
ST16000NE000 (旧モデル)
16TB69,739円4,358円 / 1TB
Seagate IronWolf Pro 16TB
ST16000NT001 (現行モデル)
16TB52,542円3,283円 / 1TB
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今回のボリュームのサイズの拡張には、8TB HDDを2台と思っていたのですが、16TBの現行モデルが相対的に安かったので、16TBも視野に入れることにしました。

もちろん製品の価格としては16TBのほうが高いのですが、1TB当たりの価格を比較すると状況は変わります。現行モデルのIronWolf Proの8TBは、1TBあたり4,860円に対し、現行モデルのIronWolf Proの16TBは、1TBあたり3,283円だったのです。16TBモデルが、かなり割安(3割強)だったのです。

Seagate IronWolf Pro 16TB ST16000NT001 x 2

そこで、今回は、予定していたIronWolf Pro 8TBのHDDを2台ではなく、IronWolf Pro 16TBの HDDを2台購入することにしました。

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ボリューム拡張の構成2

購入する2台のHDDのサイズが、8TBではなく16TBに変更になりました。そのため、NAS のHDD構成も予定していた構成より変更します。

HDDの構成は、2台のNAS(以下それぞれNAS1とNAS2とする)で異なることになります。

NAS2側は、2台の8TB HDDを2台の16TB HDDに入れ替えます。NAS1側は、空きベイに1台の8TB HDDを追加します。このとき、NAS1に追加する8TB HDDは、NAS2で今まで使っていたHDDを再利用します。これにより、新規購入が必要なHDDは、2台の16TB HDDのみとなります。

NAS1: 8TB HDD x 2 (RAID1) → 8TB HDD x 3 (RAID5)
NAS2: 8TB HDD x 2 (RAID1) → 16TB HDD x 2 (RAID1)

RAID5のパリティ分散の構成では、3台以上のHDDを使います。実際に利用可能な容量は HDDサイズ × (HDD台数 – 1)のサイズです。構成する個々のHDDサイズが異なる場合、一番小さいHDDサイズが計算の基準となります。NAS1は、3台の8TB HDDで構成することなるので、8TB × (3 – 1) = 8TB × 2 = 16TBとなり、利用可能な容量は約16TBとなります。

RAID1のミラーリングの構成では2台のHDDを使います。実際に利用可能な容量は1台分のHDDサイズです。構成する二つHDDサイズが異なる場合、小さいほうのHDDサイズがサイズの基準となります。NAS2は、2台の16TB HDDで構成することなるので、利用可能な容量は約16TBとなります。

NAS1とNAS2でRAIDの構成は異なりますが、利用可能な容量は約16TBとほぼ同じにできます。


今回の投稿では、NAS のボリュームサイズを拡張計画を立てました。次回の投稿では、実際の拡張手順について説明したいと思います。

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