nasneのハードディスク交換#1 HDDが故障した

nasneが起動しなくなりました。nasneは起動中は電源ランプが点滅し、起動が完了すると電源ランプは点灯に変わります。

2021年3月にBUFFALO製のnasneが発売されました。しかし、この投稿で扱うnasneは、ソニー製のnasneです。ご注意ください。

nasneの起動が完了しない

nasneは、正常に起動するときは、電源ランプは、起動処理中は緑点滅、起動が完了すると緑点滅から緑点灯に変わります。HDDランプは、HDDにアクセス中のみオレンジ点灯するものなので、不定期のオレンジ点滅を繰り返します。

しかし、私のnasneの電源を入れても、長い時間待っても電源ランプは緑点滅のままで、緑点灯には変わりません。また、HDDランプはずっとオレンジ点灯したままです。

起動が完了しないnasneの基板(電源LEDは緑点滅、HDD LEDはオレンジ点灯)

この状態では、電源ボタンを長押ししても反応せず、電源を抜き差しするしかありません。抜き差ししても、また起動が完了せず同じ状態になります。

nasneに障害が起きたようです。このnasneは2012年秋から稼働しているので、8年以上動作していることになります。起動時にHDDランプがオレンジ点灯したままになっているということは、おそらくハードディスクに障害が起きて、必要なプログラムやデータが読み込めなくなったのだと思います。

メーカの有償修理は終了ずみ

この障害が起きたnasneは500GBモデルです。

PlayStaionサポートのオンライン修理受付サービス PS4 / その他モデルの修理をオンラインで申し込むを開き、「周辺機器」→「nasne (ナスネ)™ CECH-ZNR1J (HDD容量:500GB)」を選択すると

今回修理サービスをお申込みいただいた機種はアフターサービス終了モデルの為、診断や修理をする事ができません。

アフターサービス受付終了機種を送られた場合は、そのまま返却させていただきます。
恐れ入りますが、何卒ご了承ください。

と、古い機種なので修理ができないことが案内されます。

ちなみに、「nasne (ナスネ)™ CECH-ZNR2J/CUHJ-15004 (HDD容量:1TB)」を選択した場合は、現在(2021年3月)でも修理ができることが案内されます。

長年使用してきた、500GBのnasneですが、メーカーでの修理はできないことがわかりました。

nasneのHDDを取り出す

nasneのHDDの一部のセクターが不良になり、ファイルシステムが壊れているだけかもしれません。軽度の障害なら、録画番組はだめになったとしても、ファイルシステムが修復できれば、回復できる可能性があります。

そこで、nasneのHDDを取り出して調べてみることにしました。nasneのHDDの取り出し方は、以下の通りです。

  1. nasune側面の4か所のネジの隠し蓋を外す
  2. nasune側面の4本のネジを外す
  3. ネジを外した側と反対側のケースを外す
  4. 基板はケースの上下の二つの爪で固定されているので、爪部分を広げながら基板を外す
  5. HDDは4本のネジで基板に固定されているので、4本のネジを外す
  6. HDDをSATA端子から外す

ここでは、文章のみで手順を書きました。写真付きの取り外し方は、「nasne 分解」などのキーワードで検索すれば、紹介しているサイトがあると思います。

nasneの分解後

分解すると上記の写真のようになります。構成は、

  • ケース 2個(左側、右側)
  • 基板 1枚
  • HDD 1個
  • ケースネジ蓋 4個
  • ケースネジ 4個
  • HDDネジ 4個

となり、かなりシンプルです。

nasneのHDDの状態を確認するための準備

HDDのファイルシステムの状態を確認するためには、別のOS(Linuxなど)上でHDDをつないで、HDDにアクセスしてみるしかありません。必要な機材は、

  • SATA端子を持つPC(デスクトップPCなど)、もしくは、SATA-USB変換ケーブルとUSB端子を持つPC
  • OSのブータブルイメージ

です。

OSは、何でもよいのですが、その後の修復作業などのことを考えるとLinuxがよいです。Windows上で、修復作業をしようとした場合、OSの付属のコマンドだけでは足りないことが多いからです。

ただ、Linux系といっても、いろいろなディストリビューションのOSイメージがあります。今回のように一時的にLinuxを使いたいときは、Linux系のブータブルイメージを使います。Linux系のブータブルイメージは、DVDやUSBメモリなどに展開すると、PCにLinuxをインストールすることなくLinuxを起動できます。

今回は、ブータブルイメージの一つであるDebian Liveを使います。このLinuxのisoイメージは、

https://cdimage.debian.org/debian-cd/current-live/amd64/iso-hybrid/ 

にあります。今回は、debian-live-10.8.0-amd64-gnome.iso をUSBメモリに展開して使いましたが、これより、バージョンが新しくても問題ありません。

ブータブルイメージのDVDやUSBメモリが準備できたら、デスクトップPCのSATA端子に取り外したnasneのHDDをつないで、ブータブルイメージからLinux (Debian Live)を起動します。

HDDのセクターデータに直接触る作業には管理者権限が必須です。

上記のDebian Live (gnome)を使った場合は、xtermを起動し、そのコンソールで管理者権限に昇格します。管理者権限への昇格は

sudo su

とすることで可能です。一つ一つの作業を毎回sudoを使って行うことも可能ですが、手順が複雑になるので、今回は、管理者権限に昇格してしまいます。

これ以降のLinux上での説明は、管理者権限へ昇格済みであることが前提となります。

nasneのHDDのデバイスパスを確認

まずは、nasneのHDDのデバイスパスを確認します。

fdisk -l

fdisk-lオプション付きで実行すると、PCにつながっているストレージの情報が表示されます。

たとえば、以下のように表示されます。

...
Disk /dev/sda: 465.8 GiB, 500107862016 bytes, 976773168 sectors
Disk model: Hitachi HTS54505
Units: sectors of 1 * 512 = 512 bytes
Sector size (logical/physical): 512 bytes / 4096 bytes
I/O size (minimum/optimal): 4096 bytes / 4096 bytes
Disklabel type: dos
Disk identifier: 0x12345678

Device     Boot   Start       End   Sectors   Size Id Type
/dev/sda1  *       2048    526335    524288   256M 83 Linux
/dev/sda2        526336   2623487   2097152     1G 83 Linux
/dev/sda3       2623488 976773167 974149680 464.5G 83 Linux
...

これは、出力結果の一部を抜粋したものです。Disk modelの情報を参考にnasneのHDDを特定します。この例の場合は、Hitachi HTS54505です。すぐ上を見ると、HDDのデバイスパスは/dev/sdaであることがわかります。

HDDのパーティション情報を確認

上記の実行例では、/dev/sdaのパーティション情報も表示されています。パーティションは3つあり、256MB, 1GB, 464.5GBのサイズです。パーティション情報がちゃんと表示されているということは、パーティション情報を保持している部分のセクターには障害が発生していないようです。

3つのパーティションの用途ですが、nasneの場合は、

  • 第1パーティションはファームウェア
  • 第2パーティションはシステムのファイルシステム
  • 第3パーティションは録画ファイル用のファイルシステム

として構成されているようです。

nasneのHDDからイメージを吸い出す

パーティションのデータが読み出せるか試してみます。ここではddコマンドを使って、読み出してみます。3つのパーティションとも試します。

dd if=/dev/sda1 of=/dev/null conv=noerror,sync status=progress
dd if=/dev/sda2 of=/dev/null conv=noerror,sync status=progress
dd if=/dev/sda3 of=/dev/null conv=noerror,sync status=progress

エラーなし

エラーが発生しなかった場合は、以下のように結果の出力にはエラーメッセージは表示されません。

524288+0 records in
524288+0 records out
268435456 bytes (268MB, 256 MiB) copied, 3.66318 s, 73.3 MB/s

エラーが発生

エラーが発生した場合は、以下のように結果の出力にはエラーメッセージ(error reading '/dev/sda1': Input/output error)が表示されます。

dd: error reading '/dev/sda1': Input/output error
524287+1 records in
524288+0 records out
268435456 bytes (268MB, 256 MiB) copied, 3.66318 s, 73.3 MB/s

パーティションのデータの読み出し結果

私の起動しなくなったnasneのHDDの場合は、第1パーティションの読み出しはエラーが発生しませんでした。しかし、第2パーティション、第3パーティションはともに、読み出しエラーが発生し、多くのセクターが読み出せない状態でした。

第2パーティションのシステムのファイルシステムが読み出せないため、nasneが起動できなくなったようです。第3パーティションだけであれば、録画ファイルが壊れるだけで起動できた可能性がありました。

HDDの修復方針の決定

HDDの各パーティションの読み出し検査をした結果、ファイルシステムが論理的に壊れているだけではありませんでした。HDDに読み出しができないセクターが数多くあり、物理的にセクターが壊れていることがわかりました。

このHDDを再利用して、システムを修復することはできなさそうです。

物理的に障害が起きているセクターを使わないようにして、ファイルシステムを修復することはできます。しかし、エラーが発生しているセクターの数が多すぎるので、その方法は取らないことにします。また、たとえ、その方法で修復しても、物理的なセクターエラーが複数発生したHDDでは、その後も、新たなセクターエラーの障害が増ていくことは目に見えています。

そのため、新しいHDDを使用して、システムを修復することにします。


今回の投稿では、nasneのクラッシュしたHDDの状態の確認方法の紹介でした。次回の投稿で新しいHDDを使って修復します。

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