2021年6月に年内にリリースと発表されたWindows 11。正式な公開日が決まりました。2021年10月5日です。
Windows Insider Programで入手できる2021年9月上旬時点での最新のWindows 11である、Windows 11 Proのビルド22000.176で確認したところ、設定アプリの「システム→バージョン情報」では、エディションは「Windows 11 Pro」、バージョンは「21H2」と表示されていました。
バージョンは、Windows 10の2020後半から始まったバージョンの命名規則を引き継ぐようです。Windows 11の一回目のバージョンは21H2です。
Windows 11の初回リリースの最終版(22000.194)でも、 エディションは「Windows 11 Pro」、バージョンは「21H2」 となっていました。
サブスクライバーダウンロードのisoファイル
Visual Studio サブスクライバーとは、マイクロソフトとVisual Studioのサブスクライブ契約したユーザーのことです。以前はMSDNサブスクライバーと呼ばれていました。Windows向けの開発者の多くは契約することが多いと思います。
Visual Studio サブスクライバーであれば、Visual Studioだけでなく、開発用・検証用にWindowsのisoファイルがダウンロードできます。
Visual Studio サブスクライバー ダウンロード サイトには、2021年10月5日(US時間、日本時間では10月4日)にWindows 11 21H2のisoファイルがダウンロードできるようになりました。このダウンロードサイトには、ここ5年くらいはWindows 11のPreview版のisoファイルが置かれたことはありません。置かれるisoファイルは正式リリース版のWindows 11のみです。
ダウンロードできるisoファイル名は、日本語版(x64)・英語版(x64)は以下の通りでした。
- ja-jp_windows_11_consumer_editions_x64_dvd_a2025ae7.iso
- en-us_windows_11_consumer_editions_x64_dvd_bd3cf8df.iso
Windows 11では、32ビット版のイメージは提供されなくなりました。そのため、64ビット版のみとなります。同じisoイメージで、Home / Education / Pro / Pro Education / Pro for Workstationのエディションがインストールできます。
実際、このサイトからisoファイルをダウンロードして、オフラインでWindows 11 21H2 Proをクリーンインストールしたら、ビルド番号は22000.194でした。そのため、Windows 11 21H2の最終リリースビルドは22000.194で間違いありません。
なお、Windows 10 2004 (2020年の1回目のバージョン)から、機能エクスペリエンスという番号も追加されました。Windows 11の初回の機能エクスペリエンスは、Windows 機能エクスペリエンス パック 1000.22000.194.0です。
なお、ネットワークをつないで、Windows Updateを実行すると、現時点(2021年10月10日時点)では、
- OSビルド: 22000.194
- エクスペリエンス: Windows 機能エクスペリエンス パック 1000.22000.194.0
のままであり、変更ありませんでした。
Windows 11 21H2のリリース
Insider PreviewビルドであるWindows 11 21H2を振り返ってみたいと思います。
今年のWindows 11 21H2に関する今までのWindows Insiderビルドのリリースをまとめてみました。ビルド番号、公開日(Dev channel / Beta channel / Release Preview channel)、変更・改善点・修正、既知の問題、主なトピックの順です。
channelの違いについては、以前の投稿を参照してください。ただし、この投稿のときは、channelではなく、ringと呼ばれていました。投稿中のringに関しては、Fast ring→Dev channel、Slow ring→Beta channel、Release preview ring→Release preview channelと読み替えてもらえば、ほとんど同じです。ringからchannelへの変更ついては、2020年6月15日のWindows Insiderブログ(英語)に記載があります。
Windows 11 21H2は、Windows 10 2004/20H2/21H1系(1904x.xxxx系)のちょっとした改善ではなく、大幅改変です。そのため、長い間Dev Channelで開発されていました。
この表では、1904xより大きいビルド番号になった、19536以降のDev channelへのリリースを含めています。
ビルド番号 | 公開日 (Dev channel) | 公開日 (Beta channel) | 公開日 (Release preview channel) | 一般的な変更、 改善点、修正 (General changes, improvements, and fixes) | 既知の問題 (Known issue) | トピック |
---|---|---|---|---|---|---|
19536 | 2019/12/16 | – | – | 18 | 6 | オプションドライバー・IME |
19546 | 2020/01/16 | – | – | 4 | 11 | 電卓アプリ |
19551.1005 | 2020/01/23 | – | – | 8 | 10 | – |
19555.1001 | 2020/01/30 | – | – | 7 | 8 | – |
19559.1000 | 2020/02/05 | – | – | 7 | 10 | – |
19564.1000/1005 | 2020/02/12 | – | – | 21 / -(KB4541091) | 7 – | グラフィック設定/カレンダーアプリ |
19569.1000 | 2020/02/20 | – | – | 4 | 8 | アイコン |
19577 | 2020/03/05 | – | – | 3+17 | 10 | アイコン/PowerToys |
19582.1001 | 2020/03/12 | – | – | 4+10 | 7 | 視線制御(Eye control)、スマホ同期アプリ |
19587 | 2020/03/18 | – | – | 2+6 | 9 | – |
19592.1001 | 2020/03/25 | – | – | 1+8 | 12 | 2-in-1コンパーチブルPCのタブレット姿勢向けの改善 |
19603 | 2020/04/08 | – | – | 2+20 | 9 | エクスプローラー for WSL / ストレージ設定 / ニュースバーアプリ/ RAW Image (Canon CR3) |
19608 | 2020/04/15 | – | – | 0+6 | 7 | 既定のアプリ設定 / スマホ同期アプリ |
19613.1000 / 1005 | 2020/04/22 | – | – | 0+8 | 6 | コルタナアプリ |
19619.1000 | 2020/04/29 | – | – | 1+5 | 6 | スマホ同期アプリ |
19624 | 2020/05/06 | – | – | 4+16 | 4 | – |
19628 | 2020/05/13 | – | – | 2+1 | 5 | – |
19631 | 2020/05/21 | – | – | 2+3 | 4 | ARM64 VHDX |
19635 | 2020/05/28 | – | – | 0+7 | 4 | – |
19640 | 2020/06/03 | – | – | 2+0 | 4 | – |
19645 | 2020/06/10 | – | – | 2+7 | 2 | スマホ同期アプリ |
10150 | 2020/06/17 | – | – | 3+20 | 3 | GPU on WSL / 地図アプリ |
20152 | 2020/06/24 | – | – | 0+4 | 8 | – |
20161 | 2020/07/01 | – | – | 0+11 | 7 | スタート画面、通知、タブレット端末、電卓アプリ |
20170 | 2020/07/15 | – | – | 3+11 | 6 | サウンド設定、MSランチャーアプリ、検索 |
20175 | 2020/07/22 | – | – | 0+11 | 11 | MS Edge / 視線制御(Eye control)、新アイコン |
20180 | 2020/07/29 | – | – | 3+4 | 10 | – |
20185 | 2020/08/05 | – | – | 1+16 | 9 | DNS設定、MDM、スマホ同期アプリ |
20190 | 2020/08/12 | – | – | 1+7 | 9 | 更新の後処理、グラフィック設定 |
20201 | 2020/08/26 | – | – | 0+5 | 10 | – |
20211 | 2020/09/10 | – | – | 0+9 | 11 | 検索設定、WSL2ファイル |
20215 | 2020/09/16 | – | – | 0+6 | 10 | 検索のダークテーマ |
20221 | 2020/09/23 | – | – | 2+9 | 9 | Meet Now、スマホ同期アプリ |
20226 | 2020/09/30 | – | – | 6+23 | 8 | ストレージヘルス、スマホ同期アプリ |
20231 | 2020/10/07 | – | – | 3+16 | 10 | 初回の端末のセットアップ(OOBE)、ファイルの関連付け |
20236 | 2020/10/14 | – | – | 1+33 | 12 | リフレッシュレート、検索 |
20241 | 2020/10/21 | – | – | 2+27 | 11 | スプラッシュスクリーン、デフラグ |
20246 | 2020/10/29 | – | – | 1+12 | 7 | – |
20251 | 2020/11/04 | – | – | 0+10 | 9 | – |
20257 | 2020/11/11 | – | – | 1+15 | 6 | スマホ同期アプリ |
20262 | 2020/11/18 | – | – | 0+10 | 6 | – |
20270 | 2020/12/03 | – | – | 2+4 | 5 | コルタナのファイルスキル |
20277 (FE_RELEASE) | 2020/12/10 | – | – | 0+2 | 5 | – |
21277 (RS_RELEASE) | 2020/12/10 | – | – | 9+48 | 5 | x64エミュレーションon ARM64、新絵文字 |
20279 (FE_RELEASE) | 2020/12/14 | – | – | – | 5 | – |
21286 | 2021/01/06 | – | – | 1+17 | 16 | ニュースと興味、記憶領域設定DiskUsage、タイムゾーン通知 |
21292 | 2021/01/13 | – | – | 1+11 | 21 | ニュースと興味、 |
21296 | 2021/01/21 | – | – | 2+9 | 18 | – |
21301 | 2021/01/27 | – | – | 4+15 | 14 | タッチキーボード、 |
21313 | 2021/02/12 | – | – | 9+50 | 11 | ニュースと興味、MS Edge, IME |
21318 | 2021/02/19 | – | – | 4+21 | 10 | クリップボード履歴、インク |
21322 | 2021/02/24 | – | – | 3+10 | 10 | – |
21327 | 2021/03/03 | – | – | 3+16 | 14 | ニュースと興味 |
21332 | 2021/03/10 | – | – | 4+20 | 11 | ニュースと興味 |
21337 | 2021/03/17 | – | – | 4+17 | 10 | 仮想デスクトップ、キャプション設定、メモ帳、ウィンドウぅターミナル、Power Automete Desktop |
21343 | 2021/03/24 | – | – | 7+29 | 11 | 新アイコン、MSディフェンダーアプリ保護 |
21354 | 2021/04/07 | – | – | 6+28 | 15 | ニュースと興味の設定、ディスプレイ設定、カメラ設定、MSペイント、Snipping Tool |
21359 | 2021/04/14 | – | – | 6+27 | 12 | – |
21364 | 2021/04/21 | – | – | 3+26 | 8 | Linux GUIアプリ、タスクマネージャー、日本語50音タッチキーボード |
21370 | 2021/04/29 | – | – | 3+19 | 6 | Bluetoothオーディオ |
21376 | 2021/05/06 | – | – | 5+30 | 4 | Segoe UIフォント |
21382 | 2021/05/14 | – | – | 4+16 | 6 | HDR |
21387 | 2021/05/21 | – | – | 2+13 | 4 | – |
21390 | 2021/05/26 | – | – | 2+9 | 3 | – |
21390.1000 | 2021/06/07 | – | – | KB5004071 | – | – |
21390.1010 | 2021/06/10 | – | – | KB5004092 | – | – |
21390.2025 | 2021/06/14 | – | – | KB5004123 | – | – |
22000.51 | 2021/06/28 | – | – | 2+0 | 24 | Windows 11 |
22000.65 | 2021/07/08 | – | – | 9+43 | 21 | |
22000.71 | 2021/07/15 | – | – | 4+54 | 25 | SDK |
22000.100 | 2021/07/22 | 2021/07/29 | – | 7+60 | 25 | SDK |
22000.120 | 2021/08/05 | – | – | 8+105 | 19 | SDK |
22000.132 | 2021/08/12 | 2021/08/12 | – | 2+7 | 25 | SDK |
22000.160 | 2021/08/19 | 2021/08/19 | – | 2+1 | 26 | SDK, ISO |
22000.168 | 2021/08/27 | 2021/08/27 | – | 2+5 | 20 | SDK, Microsfotストアアプリ |
22000.176 | 2021/09/02 | 2021/09/02 | 1+7 | 13 | SDK, Microsfotストアアプリ | |
22000.184 | – | 2021/09/09 | 2021/09/09 | 0+2 | 13 | |
22000.194 | – | 2021/09/16 | 2021/09/16 | 0+7 | 13 | アプリの更新 |
19536になったのは、2019年12月であるためかなり長い表となりました。この表から分かるように、Windows 11 21H2向けには、かなり長い間Dev channelが利用されていました。Beta channelは、Windows 10の開発に利用されていました。
Windows 11 21H2が各channel(旧ring)に配信され始めた時期をまとめると以下のようになります。
- 2019年12月16日 Dev channel 19536.1000
- 2021年7月29日 Beta channel 22000.100
- 2021年9月9日 Release Preview channel 22000.184
- 2021年10月4日 Visual Studio サブスクライバーでisoファイルがダウンロード可能 22000.194
- 2021年10月5日 Windows Updateで配布開始 (この時点で自動更新はまだで、手動更新のみ)
Windows 11は、大きなUI変更を含む大型アップデートであるため、開発は時間をかけてのリリースで完成に至りました。
今回は、完成したばかりのWindows 11 21H2のプレビュービルドについて紹介しました。このWindows 11 21H2は、まずは、プリインストールPC向けに利用されます。
Windows Updateでの配信
既存のWindows 10ユーザーにはWindows 11は無料で配信されいます。しかし、既存のWindows 10ユーザー向けには、全ユーザーには配信されません。というのは、Windows 10とWindows 11では、最低ハードウェア要件が異なるためです。最低ハードウェア要件を満たすPCのユーザーにのみ無料で配信されることになります。
Windows 11の最低ハードウェア要件を満たすCPUは、インテルCPUの場合おおよそ第8世代以降のCPUとなります。これらのCPUは、2017年後半に発売になったので、それ以降に新発売になったPCが対象となります。
手動更新
最低ハードウェア要件を満たしているWindows 10 PCであっても、10月09日現在では、Windows Updateを明示的に実行(手動実行)しても、Windows Update経由ですぐに配信さるPCもあれば、配信されないPCもあります。
Windows 10のバージョンのアップグレード(20H2から21H1などのアップグレード)では、手動更新であれば、すぐにアップグレードすることが可能でした。Windows 10からWindows 11へのアップグレードでは、手動更新であっても、すぐにはアップグレードできないようです。
Windows 11の最低ハードウェア要件を満たしたWindows 10 PCの場合、Windows Updateには、「このPCでWindows 11を実行できます」と表示されます。
その後ろに、「具体的な提供時期は、準備の都合上、変動する可能性があります」と表示されているように、順次、配布対象PCを広げていくようです。当初は、最近に発売されたWindows 10 PCが対象となり、順次、過去に発売されたWindows 10 PCへ拡大されていくものと思われます。
自動更新
手動更新でこのような状態のため、既存のWindows 10 20H2 / 2004 / 1909 / 1903 / 1809ユーザー向けにWindows Update経由で自動更新で、Windows 11が提供されるのはもう少し先になります。
ただ、Windows 10のバージョンのアップグレード (20H2から21H1などのアップグレード) のときとは異なり、Windows 11はWindows 10と別商品として扱われています。自動更新で自動的にWindows 11へアップグレードされることはなく、Windows 11へのアップグレードの準備ができたときに、ユーザーへWindows 11へアップグレードするかどうかを尋ねられます。
以上、完成・公開されたばかりのWindows 11 21H2のビルドの紹介でした。
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