この3年くらいは、 Windows 10は、年2回リリースされ、バージョン番号はYY03かYY09で(YYには西暦の下二桁の数字)でした。去年からこの規則から外れました。
2020年の一回目のバージョン(20H1)は、この規則から外れて2004となりました。さらに、2020年の二つ目のバージョンは、20H2となりYYMMの規則から完全に離れました。2021年の一回目のバージョンは21H1です。Windows 10 21H1 は当初19043.928が最終版の候補となりました。
最終版の候補になったことはWindows Insider Programの2021年4月28日付のブログ(英語)に記載されています。このバージョンにつけられた名前はMay 2021 Updateとなります。
その後、一つの問題を解決した19043.962、複数の問題を解決した19043.964の二つが、最終版の更新としてリリースされました。
2021年4月28日時点で、Windows 10 21H1 は完成したものの、Windows Insiderではない一般ユーザーにはまだ公開はされていませんでした。
Windows Insider向けには、日本語64ビット版が
- Windows10_InsiderPreview_Client_x64_ja-jp_19043_928.iso
というファイル名で公開されています。
サブスクライバーダウンロードのisoファイル
Visual Studio サブスクライバーとは、マイクロソフトとVisual Studioのサブスクライブ契約したユーザーのことです。以前はMSDNサブスクライバーと呼ばれていました。Windows向けの開発者の多くは契約することが多いと思います。
Visual Studio サブスクライバーであれば、Visual Studioだけでなく、開発用・検証用にWindowsのisoファイルがダウンロードできます。
Visual Studio サブスクライバー ダウンロード サイトには、2021年5月18日(US時間、日本時間では5月19日)にWindows 10 21H1のisoファイルがダウンロードできるようになりました。このダウンロードサイトには、ここ5年くらいはWindows 10のPreview版のisoファイルが置かれたことはありません。置かれるisoファイルは正式リリース版のWindows 10のみです。このサイトにWindows 10 21H1のisoファイルが置かれたということは、完成したことに間違いないようです。
ダウンロードできるisoファイル名は、日本語版(x64/x86)・英語版(x64/x86)は以下の通りでした。
- ja_windows_10_consumer_editions_version_21h1_x64_dvd_31e0959d.iso
- ja_windows_10_consumer_editions_version_21h1_x86_dvd_d222efdc.iso
- en_windows_10_consumer_editions_version_21h1_x64_dvd_540c0dd4.iso
- en_windows_10_consumer_editions_version_21h1_x86_dvd_68cee121.iso
同じisoイメージで、Home / Education / Pro / Pro Education / Pro for Workstationのエディションがインストールできます。
実際、このサイトからisoファイルをダウンロードして、オフラインでWindows 10 21H1 Proをクリーンインストールしたら、ビルド番号は19043.928でした。そのため、Windows 10 21H1の最終リリースビルドは19043.928で間違いありません。
なお、Windows 10 2004 (2020年の1回目のバージョン)から、エクスペリエンスという番号も追加されました。2004のエクスペリエンスは、Windows Feature Experience Pack 120.2202.130.0 でした。20H2のエクスペリエンスは、Windows Feature Experience Pack 120.2212.31.0 でした。今回のバージョン21H1のエクスペリエンスは、Windows Feature Experience Pack 120.2212.551.0 です。少しだけ番号が増えています。
なお、ネットワークをつないで、Windows Updateを実行すると、現時点(2021年5月19日時点)では、
- OSビルド: 19043.985
- エクスペリエンス: Windows Feature Experience Pack 120.2212.2020.0
に更新されました。
Windows 10 21H1のリリース
Insider PreviewビルドであるWindows 10 21H1を振り返ってみたいと思います。
今年のWindows 10 21H1に関する今までのWindows Insiderビルドのリリースをまとめてみました。ビルド番号、公開日(Dev channel / Beta channel / Release Preview channel)、変更・改善点・修正、既知の問題の順です。
channelの違いについては、以前の投稿を参照してください。ただし、この投稿のときは、channelではなく、ringと呼ばれていました。Dev channel→Fast ring、Beta channel→Slow ring、Release preview channel→Release preview ringと読み替えてもらえば、ほとんど同じです。ringからchannelへの変更ついては、2020年6月15日のWindows Insiderブログ(英語)に記載があります。
Windows 10 21H1は、Windows 10 20H2のちょっとした改善であるため、20H2の延長上で開発されています。そのため、この表には20H2がリリースされた以降の20H2のBeta channelへのリリースも含めています。
また、Windows 10 21H1に取り込まれる予定のWindows Feature Experience Packも表に含めています。
ビルド番号 | 公開日 (Dev channel) | 公開日 (Beta channel) | 公開日 (Release preview channel) | 一般的な変更、 改善点、修正 (General changes, improvements, and fixes) | 既知の問題 (Known issue) |
---|---|---|---|---|---|
19042.630 | – | 2020/11/10 | 2020/11/10 | 2 (KB4586781) | – |
19042.662 | – | 2020/11/23 | 2020/11/23 | 47 (KB4586853) | – |
Windows Feature Experience Pack 120.2212.1070.0 | – | 2020/11/30 | – | 2 | – |
19042.685 | – | 2020/12/08 | 2020/12/08 | 2 (KB4592438) | – |
19042.746 | – | 2021/01/12 | 2021/01/12 | 3 (KB4598242) | – |
19042.782 | – | 2021/01/26 | 2021/01/26 | 39 (KB4598291) | – |
Windows Feature Experience Pack 120.2212.2020.0 | – | 2021/01/26 | – | 1 | – |
19042.789 | – | 2021/02/02 | 2021/02/02 | 3 (KB4598291) | |
19042.804 | – | 2021/02/09 | 2021/02/09 | 4 (KB4601319) | – |
19043.844 | – | 2021/02/17 | – | 4+42(KB4601382) | – |
Windows Feature Experience Pack 120.2212.3030.0 | – | 2021/02/23 | – | 1 | – |
19043.867 | – | 2021/03/09 | – | 2 (KB5000802) | – |
19043.899 | – | 2021/03/15 | – | 50 (KB5000842) | – |
19043.906 | – | 2021/03/25 | 2021/03/25 | 2 (KB5000842改) | – |
19043.928 | – | 2021/04/13 | 2021/04/13 | 5 (KB5001330) | – |
19043.962 | – | 2021/04/19 | 2021/04/19 | 25 (KB5001391) | |
Windows Feature Experience Pack 120.2212.3740.0 | – | 2021/04/28 | 2021/04/28 | 1 | – |
19043.964 | – | 2021/04/28 | 2021/04/28 | 1 (KB5001391) | – |
19043.983 | – | 2021/05/11 | 2021/05/11 | 1 (KB5003173) | – |
この表から分かるように、Windows 10 21H1向けには、Dev channelが利用されていません。Dev channelは、21H1よりも先のバージョンであるWindows 10 21H2以降向けに利用されています。
21H1が各channel(旧ring)に配信され始めた時期をまとめると以下のようになります。
- 2021年2月17日 Beta channel 19043.844
- 2021年3月25日 Release Preview channel 19043.906
- 2021年5月19日 Visual Studio サブスクライバーでisoファイルがダウンロード可能 19043.928
- 2021年5月19日 Windows Updateで配布開始 (この時点で自動更新はまだで、手動更新のみ)
21H1は、ちょっとした機能改善にとどめられており、3ヶ月くらいのリリースで完成に至りました。
また、Windows 10 21H1のWindows Feature Experience Packは、Preview Release Channelにリリース済みの最新版(120.2212.3740.0)ではなく、120.2212.2020.0 が利用されていることがわかります(5月19日時点)。
今回は、完成したばかりのWindows 10 21H1のプレビュービルドについて紹介しました。このWindows 10 21H1は、まずは、プリインストールPC向けに利用されます。
5月19日現在は、Windows Updateを明示的に実行(手動実行)すると、Windows Update経由ですぐに配信されます。既存のWindows 10 20H2 / 2004 / 1909 / 1903 / 1809ユーザー向けにWindows Update経由で自動更新されるのはもう少し先になります。まずは、対象を絞った一部のユーザーから順次Windows 10 21H1に上がっていくものと思われます。すべてのユーザーにWindows 10 21H1が配信されるのは、半年くらいかかるのでしょうか。
以上、完成したばかりのWindows 10 21H1のプレビュービルドの紹介でした。