前回の投稿で、前面パネルにType-C端子を増設するための機材を決めました。今回は実際に拡張します。
前面パネルにType-C端子を増設に使う機材
前回の検討の結果、拡張に使用するデバイスは3.5インチベイに格納するType-C端子付きメモリカードリーダーにしました。具体的には、下記のEasyDIY製のデバイスです。
このデバイスを利用するとフロントパネルに以下の機能を増やせます。
- Type-C端子(USB 3.2 Gen 2, 最大10Gbps)
- Type-A端子(USB 3.2 Gen 1, 最大5Gbps)
- USB 3.0接続のメモリカードリーダー(メモリースティック系、SD系、microSD、CF系)
このデバイスを、VAIO RCケースのフロントパネルの3.5インチベイに設置します。
3.5インチベイは二つあります。下側のPCカードスロットは、現在機能していません。このPCカードスロット側を入れ替えます。
EasyDIY 3.5インチベイ用メモリカードリーダー
Amazonで購入しました。
デバイスの箱は、上記のようにグレー色の箱です。この製品はEZDIY-FABという製品シリーズのようですね。また、型番と名称は
- X000SZ7HAN
- JP-3.5-3.0 card reader with C
と記載されています。
箱から出すとデバイスとマニュアルと4本のネジが入っていました。マニュアルには、
- EZDIY-FAB
- USB 3.0 card reader with type c gen 2 and USB panel
- Product Code: ED-CR-IN3535-6
と記載されています。
マニュアルは、7か国語(GB/FR/D/PT/ES/JP/CN)で記載されています。ただ、特に読まなくても設置はできると思います。
接続に使うケーブルの端子です。USB Type-C Key A (USB 3.2 Gen 2)ヘッダ端子とUSB 3.0 (USB 3.2 Gen 1)ヘッダ端子です。マザーボードにはこれらがつながる端子が必要です。
ケーブルの長さは、USB Type-C Key A (USB 3.2 Gen 2)ケーブルは約50cm、USB 3.0 (USB 3.2 Gen 1)ケーブルは約60cmです。マザーボード上の端子には十分に届く長さです。大型のPCケースであっても、問題なく届くのではないでしょうか。
マザーボード上のUSB端子
ASUS PRIME Z790M-PLUS D4-CSMのマザーボード上のUSB系の端子は、以下の3系統あります。
- USB 3.0端子は一つ(写真上の赤色の丸枠)
- Type-C Key A (USB 3.1 Gen 1)端子は一つ(写真上の青色の丸枠)
- USB 2.0端子は、二つ(写真上の黄色の丸枠)
これらの中で、USB 3.0系の二つ端子は、まだ利用していません。今回は、この中の赤の丸の端子(USB 3.2 Gen 1)と青の丸の端子(USB 3.2 Gen 1)を利用します。
今回のASUS PRIME Z790M-PLUS D4-CSMのUSB端子の場合は特に問題ありませんが、他のマザーボードを使う場合は、VAIO RCのケース特有の事情を考慮する必要があります。
というのは、下記の写真のように、マザーボードの右側の端子のすぐそばまでPCケースの壁面があり(上記の写真の黄緑の領域)、横向きにケーブルをつなぐことができないからです。
通常のPCケースであれば、マザーボードの右側に壁面はなく、マザーボードの基板に対して横向き(水平方向)の端子であっても問題なくケーブルを接続することができます。
しかし、VAIO RCのケースでは、横向きの端子の場合、ケーブルを接続できないことがあります。
たとえば、MSI MPG Z390M GAMING EDGE ACのマザーボードの場合、下記の写真のようにUSB 3.2の端子は、2か所(青色枠、赤色枠)にあります。青枠の端子は垂直方向に配置されていますが、赤枠の端子は、横向きに配置されています。PCケースの壁面があり(上記の写真の黄緑の領域)、通常のケーブルでは横向きにケーブルを接続できません。
マザーボードがこのような横向きの端子で、VAIO RCのケースの壁面に干渉するようであれば、変換端子などが必要となります。一例をあげると以下の通りです。
上向き
- USB 3.0 20ピンオスtoメス延長アダプタUp Down角度付き90度のメインボードマザーボード Up angled (2020年6月時点 ¥999、2023年8月時点 ¥799)
下向き
- アイネックス ケース用 USB3.0 アダプタ L型 USB-018 (2020年6月時点 ¥845)
- CY USB 3.0 20ピン オス-メス 延長アダプター マザーボードメインボード用 下向き90度(2020年6月時点 ¥999、2023年8月時点 ¥786)
- Cikuso USB 3.0 20ピンオス – メス延長アダプター角度90度 マザーボードメインボード用(下向き) (2020年6月時点 ¥520、2023年8月時点 在庫切れ)
- マザーボード 19ピンコネクタ 5個90度角度付き USB 3.0 19ピンマザーボード 内部ヘッダー 多層回路基板接続高速信号ロスレス伝送 (2020年6月時点 ¥1,699、2023年8月時点 ¥1,094)
この場合に必要なのは、下向きのアダプタ、かつ、奥行きが小さいものです。アイネックスのアダプタは奥行きが長いため使えません。その他の3つは利用できそうです。2019年に組み立てた、Z390Mのマザーボード(MPG Z390M GAMING EDGE AC )の場合は、横向きの端子であったため、その時は予備も含めて5個セット(2020年6月時点 ¥1,699)を購入しました。
当時、実際に購入したのが以下の写真です。
これを使うと、USB 3.0ヘッダを上向きに変換できます。これにより、VAIO RCのケースでは利用が困難であった横向きのUSB 3.0ヘッダを利用できます。
今回のマザーボード(ASUS PRIME Z790M-PLUS D4-CSM)の場合は、USB系ヘッダー端子はすべて、上向きの端子であるため、変換コネクターなどは必要ありません。
なお、変換コネクターが必要な例は、Z390MのPCの組み立てのときの投稿を参考にしてください。
3.5インチベイの交換
Type-C端子付きメモリカードリーダーを3.5インチベイに取り付けるのは、容易です。まずは、VAIO RCケースの横の蓋を外し、3.5インチベイに収まっているPCカードスロットの2本の固定ネジを外します。2本のネジを外せば、PCカードスロットは前に引き出せます。空いたところに、メモリカードリーダーを前面から入れます。その後、2本の固定ネジで固定します。
ケーブルを接続
次に、Type-C (USB 3.1 Gen 2)ケーブルおよびUSB 3.0 (USB 3.1 Gen 1)ケーブルを接続します。
2本のケーブルをつなぐと以下の写真のようになります。
Type-C端子付きメモリカードリーダーを設置後の外観
Type-C端子付きメモリカードリーダーを設置後のPC前面の外観は右の写真のようになります。PCケースの前面パネルは黒で、Type-C端子付きメモリカードリーダーも黒色のため違和感はありません。
3.5インチベイの部分の拡大写真は以下のようになります。
元からあったUSB 2.0接続のメモリカードリーダー(3.5インチベイ上段)と今回設置したUSB 3.0接続のメモリカードリーダー(3.5インチベイ下段)の二つになりました。
実際、エクスプローラーで確認すると、リムーバブルドライブが8台になりました。
なお、この写真では、すべてのドライブを確認できるようにするために隠し属性のドライブも表示する設定にした状態にしています。隠しドライブのためドライブアイコンが薄い表示になっています。
通常の設定(Windowsのデフォルト設定)では、メモリカードが挿入されていない場合は、ドライブは表示されません。メモリカードを挿入したときのみドライブが表示されます。
また、ドライブ名やドライブレターは、デフォルトのままではなく、明示的に設定しました。
そのため、ドライブレターは連続ではありません。新メモリカードリーダーはEドライブからHドライブに設定し、旧メモリカードリーダーはOドライブからRドライブに設定しました。
同様にドライブ名もわかりやすいように 新メモリカードリーダーは、EZ-
から始まる名前にし、旧メモリカードリーダーはHS-
から始まる名前にしました。
VAIO RCのケースの前面パネルには、USB 2.0 Type-A端子(480Mbps)しかありませんでした。
今回、VAIO RCのケースの前面パネルにType-C端子を増設するために、Type-C端子付きメモリカードリーダーを3.5インチベイに設置しました。
これにより、Type-C端子(USB 3.2 Gen 2 / 10Gbps) および、USB 3.0 Type-A端子(USB 3.2 Gen 1 / 5Gbps)が前面パネルから使えるようになりました。
Type-C端子においては、前面パネルの端子や接続ケーブルはUSB 3.2 Gen 2 / 10Gbpsに対応したものです。しかし、マザーボード側の制限で、Type-C端子の実際の速度は、USB 3.2 Gen 1 / 5Gbpsとなってしまっています。これは、今後、高速化を図りたいと思います。
最終的に、USB 3.0の規格がなかったころのVAIO RCのケースでも、最新のUSB 3.2規格の端子を前面パネルから使えるようになりました。