Dell Precision 3660 Towerと使用可能なDDR5メモリ #2

以前の投稿で、Precision 3660用に購入した増設メモリが利用できなかった件の続報です。

まずは、前回の投稿のおさらいから。

DELL Precision 3660 Tower

DELL Precision 3660 Tower

ソフトウェア開発の用途に、今年の2月に第12世代インテルCore CPUに対応したDELLのミニタワー型のPrecision 3660シリーズを購入しました。

DELL Precision 3660 Towerのベース スペック

Precision 3660のベース スペックの一部(主にメモリの部分)をDELLのホームページから抜粋すると以下の通りです。

機能仕様詳細
CPU第 12 世代インテル® Core (Core™ i9-12900K から Core™ i3-12100)
チップセットW680 (DDR5 / DDR4 ECC support)
メモリ4 x DIMMスロット︓ 最大128GB または最大4400MHz ECCおよび非ECC DDR5
最大速度︓4400MHz
最大容量︓128GB
最大メモリー速度は、各チャネルの次の構成によって異なります。
DIMM構成が対称でない場合は、最大速度が低下する可能性があります。
4400MHz︓1 DIMM-1R/2R
4000MHz︓2 DIMM-1R
3600MHz︓2 DIMM-2R
8GB、1 x 8GB、DDR5、4400MHz、非ECC
16GB、2 x 8GB、DDR5、4400MHz、非ECC、デュアルチャネル
32GB、2 x 16GB、DDR5、4400MHz、非ECC、デュアルチャネル
64GB、2 x 32GB、DDR5、4400MHz、非ECC、デュアルチャネル
32GB、4 x 8GB、DDR5、4000MHz、非ECC、デュアルチャネル
64GB、4 x 16GB、DDR5、4000MHz、非ECC、デュアルチャネル
128GB、4 x 32GB、DDR5、3600MHz、非ECC、デュアルチャネル
16GB、1 x 16GB、DDR5、4400MHz、ECC
32GB、2 x 16GB、DDR5、4400MHz、ECC、デュアルチャネル
64GB、2 x 32GB、DDR5、4400MHz、ECC、デュアルチャネル
64GB、4 x 16GB、DDR5、4000MHz、ECC、デュアルチャネル
128GB、4 x 32GB、DDR5、3600MHz、ECC、デュアルチャネル
DELL Precision 3660 Tower

チップセットはIntel W680です。これはLGA1700に対応する“Alder Lake-S”をベースとしたエントリーワークステーション向けXeonに用いられるチップセットです。Intel Xeon CPU向けとはなっていますが、Intel Core CPUでも使えます。

エントリーワークステーション向けとなっていることもあり、高価であるため、あまりメジャーではないチップセットとなります。コンシューマー向けでは、インテル600シリーズのフラグシップ チップセットは、Intel Z690であるとの認識があります。しかし、Intel W680はさらにその上の仕様を持つチップセットとなります。簡単に行ってしまうと、Intel W680は、Intel Z690に対してECCメモリサポートを追加したものとなります。

チップセットとしてはCPUのオーバークロックやメモリのオーバークロックもIntel Z690と同様に利用できます。ただ、DELLのPrecisionとしては、オーバークロックはサポートしていません。

Precision 3660がサポートしているメモリは、チップセットがIntel W680なので、ECCメモリもサポートしています。最速でDDR5-4400となります。ただし、DDR5-4400は、最速値であり、メモリモジュールのランクやメモリモジュール数によって、DDR5-4400からDDR5-3600までの動作速度となります。DDR5-4400の最速値で稼働できる最大メモリの組み合わせは、32GB x 2の64GBとなります。

メモリ関係以外の仕様の詳細は、前回の投稿を参照してください。

PC購入時は最小メモリサイズである8GB (8GB x 1)で購入して、購入後に64GB(32GB x 2)に差し替えることにしました。

増設用に購入したメモリ1 (Micron)

本体の購入と同時に交換用メモリも購入しました。PC本体が納品される前に交換用メモリを購入したため、純正メモリモジュールのチップがどのチップベンダーのであるのかがわかりませんでした。

そこで、メモリ相性保証のあるCFDのメモリ W5U4800CM-32GS (Amazon)にしました。このメモリモジュールは、Micronのチップを使っていました。チップは両面実装で、32GBのメモリモジュール1枚あたり16チップで構成されています。

購入したメモリはDDR5-4800と稼働予定のDDR5-4400より高速のメモリですが、DDR5は、速度の違いに対して上位互換があるので、同じDDR5の範囲内であれば高速のメモリはそれより遅い速度でも問題なく動作します。

DDR5-4800 64GB (32GB x 2, Micron)、CFD SELECTION W5U4800CM-32GS (表)
DDR5-4800 64GB (32GB x 2, Micron)、CFD SELECTION W5U4800CM-32GS (裏)

Precision 3660の純正メモリ (Samsung)

Precision 3660 PC本体が届いて、純正メモリを確認すると、メモリモジュールは、SAMSUNGのチップを使っていました。チップは片面実装で、8GBのメモリモジュール1枚あたり4チップで構成されています。

DDR5-4800 8GB (8GB x 1, Samsung)、Precision純正メモリ

Precision 3660のメモリをMicronのチップを使たメモリモジュールに交換

早速、8GB x 1構成の純正メモリモジュールから32GB x 2構成のメモリモジュールにメモリを交換しました。DELLのPrecisionは、電源ケーブルを接続するとメモリなどのセルフチェックが始まります。

しかし、メモリ交換後は、セルフチェックが正常に完了しません。電源ボタンのLEDが、オレンジ色と白色の点滅を繰り返します。念のため、メモリを純正モジュールに戻すと、セルフチェックは正常に完了します。

セルフチェック時の電源ボタンのLEDの点滅のパターンは、エラーコードを表しています。

購入したメモリに交換すると、具体的には電源ボタンのLEDがオレンジ色2回、白色5回の点滅を繰り返しています。DELLのPrecision 3660の場合は、PrecisionシリーズのDiag LEDおよびビープ音(2017年~現在)のエラーコード表となります。該当の部分(オレンジ色2回、白色5回の点滅)を抜粋すると以下となります。

状態状態名電源LED:
オレンジ色の点滅
オレンジで点滅のパターン問題の説明推奨される処置
S8メモリ2、5オレンジが2度点滅した後で短いとぎれ、白が5度の点滅、長いとぎれの繰り返し無効なメモリが取り付けられているメモリサブシステムの設定アクティビティが進行中。認識されたメモリモジュールは適切だが、互換性がないか構成が無効と思われる。 トラブルシューティングをサポートできる場合は、メモリを装着し直し、問題のないことがわかっているメモリがあればそれと置き換えて、問題を絞り込みます。 問題が解決しない場合は、テクニカルサポートにお問い合わせください。

互換性がないメモリが取り付けられていることを表すエラーコードとなります。

純正メモリは、DDR5-4800 CL40 1.1V (Samsung)で、交換メモリはDDR5-4800 CL40 1.1V (Micron)で、メモリ規格的には同等です。にもかかわらず、互換性がないメモリとして判断されました。

Precision 3660とMicronのチップを使ったメモリモジュール

色々調べていると、Precision 3660には、Micronのチップを使ったメモリモジュールを利用できなかったという情報

を見つけました。

この情報によると、

  • Precision 3660の純正メモリはSK hynixのチップを使ったメモリモジュールであった
  • Micronのチップを使ったメモリモジュール(32GB x 2)に変更したら動作しなかった
  • そこで、SK hynixのチップを使ったメモリモジュール(32GB x 2)に交換したら動作した。

です。

純正メモリのチップ(SK hynix)が、私の純正メモリのチップ(Samsung)と異なりますが、起きているトラブルはは同じです。

最終的には、この動作した実績のあるメモリモジュールを購入し、問題を解決しました。実績のあるメモリの詳細については、前回の投稿を参照してください。

CFDのメモリが認識しなかった原因

前回の投稿の後、Crucial CFD SELECTION W5U4800CM-32GS の販売元であるCFDに問い合わせをしました。

DELLのPCでメモリが動作しなかった理由がわかりました。

PCの構成と、起きている現象をCFDのサポートに連絡すると、以下の内容の連絡がありました。

■弊社メモリ製品とDELL PCとの相性について

DELL製パソコンでは、メモリのSPD(※1)にXMP情報(※2)が含まれている場合、
無効なメモリが取り付けられていると判断し、パソコンの起動を止める機能がございます。

弊社から販売しているDDR5メモリの場合、現状ではSPDにXMP情報が含まれているため、
こちらの機能が制限事項となってしまい、起動できない状態となります。

SPDにオーバークロック駆動用の情報であるXMP情報が含まれている場合に、DELL製PCは、無効なメモリと判断して、PCが起動しないとのことです。

CFDメモリ製品の仕様変更のお知らせ

同じ文面で、WEB検索をしたところ、以下のお知らせに関するHPが見つかりました。

メモリ製品 CFD Standardシリーズ / CFD Panramシリーズ 仕様変更に関するお知らせ

一部を画像として抜粋します。

メモリ製品 CFD Standardシリーズ / CFD Panramシリーズ 仕様変更に関するお知らせ

CFD Standardシリーズ・CFD Panramシリーズに関する仕様変更に関するものです。私が購入したCFD Selectionシリーズに関するものではありません。しかし、仕様変更理由に書かれている現象が、私が遭遇した現象と同じです。

対象商品と仕様変更内容

CFDのメモリモジュールをDELL製PCが認識しない原因

CFDのメモリモジュールをDELL製PCが認識しない原因の記載があります。

SPD内にXMP情報が含まれる場合、一部のDELL製パソコンでは、無効なメモリが取り付けられていると判断され、パソコンが起動しないことがございました。(※)
今回の仕様変更により、それらのパソコンでも弊社製メモリをご利用いただけるようになりました。
※ 電源を入れた際に、パソコンの電源LEDが、橙色2回、白色5回点滅する現象です。

ここに記載されている現象は、私が遭遇した現象と同じです。

仕様変更の内容

仕様変更の内容としては、XMP情報の削除です。XMP情報を削除した製造ロットのメモリモジュールでは、DELL製PCでもCFDのメモリを正常に認識するとのことです。

DELL製パソコンとの互換性向上のため、SPD(※1)からXMP情報(※2)を削除しました。
※1 メモリ基板上にある、クロック周波数や信号タイミングなどが記録されているROMチップです。
※2 オーバークロック動作を行うための設定情報です。 

ただし、XMP情報が削除されたのは、CFD StandardシリーズとCFD Panramシリーズのメモリモジュールのみで、CFD Selectionシリーズは対象となっていません。そのため、DELL製PCでは現在でもCFD Selectionシリーズは利用できないと考えられます。オーバークロック運用が必要のないDELL製PCなどでは、CFD Standardシリーズを利用し、オーバークロック運用が必要なPCではCFD Selectionシリーズを利用することになります。

相性問題が確認されたDELL製パソコン

相性問題を確認したDELL製パソコン

また、ホームページには、この問題が確認されたDELL製PCとして、私が遭遇したPrecision 3660以外にも多くのモデルが列挙されました。

ノートパソコン
  • Inspiron 3195, 3502, 3520, 3525, 3567, 3573, 3582, 3583, 5410, 5420, 5458, 7590
  • Latitude 5280, 5290, 5300, 5310, 7300
  • Vostro 3420, 3520, 3582, 3591
デスクトップパソコン
  • Inspiron 3891, 3910
  • OptiPlex 3000, 3070, 5000, 7000, XE4
  • Precision 3650, 3660, 5820
  • Vostro 3710, 3910
  • XPS 8920, 8940

対象のパソコンは、ノートパソコン (Inspion / Latitude / Vistro)やデスクトップパソコン (Inspiron / OptiPlex / Precision / Vostro / XSP)の多岐にわたります。第11世代インテルCPUモデル以降(2021年末以降)に発売されたほとんどのモデルが該当するのではないでしょうか。

同時期以降のBIOS (UEFI)で、メモリ モジュールにXMP情報が記録されていると、無効なメモリとして扱うようになったものと思われます。DELL製パソコンではオーバークロック動作させることがないため、その情報があること自体が適切なメモリモジュールでないと判断することになったのでしょう。

まとめ

前回の投稿で記載したまとめを訂正します。

DELL Precision 3660には、Micronのチップを使ったメモリモジュールは、DDR5-4800であったとしても利用できません。

上記を以下のように変更します。

第11世代インテルCPU以降のDELLのPC(Precision / OptiPlex / Vostro / Inspiron / XPS / Latitude ) に、適合するメモリモジュールは、SPDにXMP情報が入っていないメモリモジュールです。CFDのメモリモジュールを使う場合は、CFD Standardシリーズ、または、CFD PanramシリーズのXMP情報が設定されていない製造ロット(2023年3月以降製造)のメモリモジュールを使う必要があります。

ただし、どのメモリであっても購入は自己責任でお願いします。心配なら相性保証・交換保証のある販売店で購入しましょう。CFDのメモリモジュールは、相性保証があるので、どこの販売店の購入であっても安心です。


今回の投稿は、DELL Precision 3660でのメモリ増設に伴うトラブルの続報についての報告でした。

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