VAIO RCのケースで最新PC(Z790、第13世代CPU)を組み立てる#11 フロントUSB Type-C ポートの増設1

前回までの投稿で、VAIO RCのケースで最新のPCを組み上げ、Windows 11も使えるように使えるようになりました。今回は前面パネルのUSB端子の拡張です。

VAIO RCの前面パネル

VAIO RCの前面は、すべてのパネルを閉じた状態では、左の写真のようにすっきりしています。各パネルは、必要な時に開いて使います。右の写真は、すべてのパネルを開いた状態です。

パネルクローズ状態のVAIO RC フロント
パネルオープン状態のVAIO RC フロント

VAIO RCの前面パネルは、上から以下の構成になっています。

  • 上部: 5.25インチドライブベイ x2 (DVDマルチドライブ、空き)
  • 中央上部: 3.5インチベイ x2 (メモリカードリーダー、PCカードスロット)、USB 2.0ポートx1、i.LINK (IEEE1394) ポート x1
  • 中央下部: VAIOロゴ (ロゴの後ろには3.5インチ シャドウベイが4つあります)
  • 下部 USB 2.0ポート x2、マイク端子、ヘッドホン端子、アナログビデオ端子

VAIO RCのオリジナルのマザーボードのときは、すべての端子が利用できていました。

しかし、マザーボードを最新のマザーボード(ASUS PRIME Z790M-PLUS D4-CSM)に変更したとき、いくつかの端子は使えなくなりました。

使えなくなったデバイスおよび端子

具体的には、

  • BDドライブ
  • PCカードスロット、i.LINK (IEEE1394) ポート
  • アナログビデオ入力端子

が使えなくなりました。

BDドライブ

BDドライブは接続端子がPATAインターフェースであったため、使えなくなりました。新しいマザーボードのストレージ系のインターフェースはPATAインターフェースはなく、SATAインターフェースのみだからです。新しいマザーボードには、SATAインターフェースがあるため、インターフェースがSATA接続であるBDドライブやDVDドライブであれば現在でも使うことができます。

パネルオープン状態のVAIO RC フロント(上部: 5.25インチベイ部分)

CardBus対応のPCカードスロット

PCカードスロットは、2000年代くらいまで、主にノートPCなどで使われていたインターフェースです。PCカードの中でもCardBus対応のものは、高速な通信ができたため、当時はノートPCの機能拡張するときの主流のインターフェースでした。VAIO RCでは、デスクトップPCにも関わらず、CardBus対応のPCカードスロットがありました。当時でもPCカードスロットをサポートするデスクトップPC用のマザーボードはほとんどありませんでした。VAIO RCではフロントPCカードスロットとマザーボードとの接続は独自インターフェースです。そのため、最新のマザーボードでは使えなくなりました。そもそも、PCカードスロットの拡張デバイスは現在では新規発売されることはありません。

現在では、このような用途にはUSBThunderboltが利用されます。そのため、現在として必要のなくなったインターフェースとなります。使えなくても問題ありません。

パネルオープン状態のVAIO RC フロント(中央部: 3.5インチベイ部分)

i.LINK (IEEE 1394)ポート

i.LINK (IEEE 1394)ポートは、デジタルAV機器やストレージ機器に使用されていました。規格名は、IEEE 1394ですが、ソニーはi.LINK、アップルはFireWireというブランド名を利用していました。

VAIO RCが販売されていた当時は、ソニー製PCであるVAIOやソニー製のハンディカム(デジタルビデオカメラ)などには、ほとんどのモデルにi.LINK端子がありました。ハンディカムでは、DV端子と呼ばれていたと思います。ハンディカムとPCをつないで、ビデオを取り込むことなどに利用できました。

また、USB 2.0が利用できるようになるまでは、外付けハードディスクをつなぐときもこのi.LINK端子が使われました。USB 1.1の転送速度は、i.LINKの転送速度の10分の1以下でした。そのため、転送速度の速いi.LINKがストレージの接続に利用されました。しかし、USB 2.0では転送速度がi.LINKより転送速度が速くなったため、外部ストレージ接続の用途はUSB 2.0に置き換わりました。

アナログビデオ入力端子

VAIO RCにはアナログテレビチューナーボードが内蔵されていました。そのボードがアナログビデオ入力をサポートしていたため、ケースのフロントパネルにもアナログビデオ入力端子がありました。マザーボードを交換した後は、アナログテレビチューナーボードは取り付けなかったため、アナログビデオ入力端子も使えなくなりました。

パネルオープン状態のVAIO RC フロント(下部: オーディオコネクタ部分)

有効利用できていないマザーボード上の端子

マザーボード上の有効利用できていない端子がいくつかあります。

  • フロントパネル用USB Type-C Key A ヘッダー端子(基板上接続端子、USB 3.1 Gen 1)
  • フロントパネル用USB 3.0 ヘッダー端子(基板上接続端子、USB 3.1 Gen 1)
Type-C Key A ヘッダーコネクター(USB 3.2 Gen 1)とUSB 3.0 コネクター(USB 3.2 Gen 1)

これらの端子は、最新のマザーボードには存在しますが、VAIO RCのケースのフロントパネルには接続する端子がありません。VAIO RCが販売されていたころには存在していなかった規格だからです。

今回、これらの端子を有効利用したいと思います。

USB 3.0 / USB 3.1 / USB 3.2の違い

USB 3.0 とUSB 3.1 とUSB 3.2は、互換性を保ちつつ、少しずつ規格を拡張しました。USB 3.1では、呼び方をUSB 3.0の規格も含めて、USB 3.1の名前で再定義しました。USB 3.2では、呼び方をUSB 3.0およびUSb3.1の規格も含めて、USB 3.2の名前で再定義しました。

USB 3.0とUSB 3.1 Gen 1とUSB 3.2 Gen 1は、同じ規格を意味します。そのため、USB 3.0対応というのは、USB 3.1 Gen 1対応やUSB 3.2 Gen 1対応と読み替えて問題ありません。

同様に、USB 3.1 Gen 2とUSB 3.2 Gen 2は、同じ規格を意味します。そのため、USB 3.1 Gen 2対応というのは、USB 3.2 Gen 2対応と読み替えて問題ありません。

さらに、USB 3.2の規格では、USB 3.2 Gen 2 x2という規格が追加されています。

USB 3.2 のGen 1とGen 2とGen 2 x2の違い

ところで、USB 3.2 のGen 1とGen 2とGen 2×2の違いは何でしょうか?

転送速度が異なります。

USB 3.2 Gen 1は、5 Gbpsです。それに対し、USB 3.2 Gen 2は、10 Gbps、USB 3.2 Gen 2 x2は 20 Gbpsです。速度が2倍、4倍違います。

USB 3.1での名称、USB 3.2での名称、ブランド名などをまとめると以下のようになります。

規格名USB 3.1で
の名称
USB 3.2で
の名称
ブランド名ロゴ速度形状策定年
USB 3.0USB 3.1
Gen 1
USB 3.2
Gen 1
SuperSpeed USB 5Gbps5GbpsType-A
Type-B
Type-C
Micro USB
2008年
USB 3.1USB 3.1
Gen 2
USB 3.2
Gen 2
SuperSpeed USB 10Gbps10GbpsType-A
Type-B
Type-C
Micro USB
2013年
USB 3.2USB 3.2
Gen 2×2
SuperSpeed USB 20Gbps20GbpsType-C2017年
USB4
Version 1
USB4™ 20Gbps
USB4™ 40Gbps
(Thunderbolt 3)

20Gbps
40Gpps
Type-C2019年
USB4
Version 2
80GbpsType-C2022年

VAIO RCのフロントパネルの制限

VAIO RCが販売していたころには、USB Type-C (USB 3.1 Gen 2)規格もUSB 3.0規格も存在していませんでした。そのため、VAIO RCのフロントパネルにはこれらの規格の端子はありません。新しい規格の端子をPC前面から利用できるようにするために、別の方法を考えます。

幸い、VAIO RCのケースには、フロントパネルに5.25インチドライブベイが二つと、3.5インチドライブベイが二つあります。これらを利用して、新規格の端子をフロントパネルに増設することを検討します。

ドライブベイの検討

今回の目的は、USB Type-C ポートとUSB 3.0ポートをフロントパネルに増やすことです。ドライブベイを利用して、これらのポートを増やします。

そこで、この用途に使用できる拡張機器を探す必要があります。Amazonで検索して探します。「Type-C 3.1 gen2 ベイ」で検索するといくつか見つかります。検索結果には、パネルにUSB Type-Cの端子があっても、マザーボードにつなぐヘッダー端子がUSB 3.0用のコネクタ(USB 3.2 Gen 1, 5 Gbps)のものもあります。USB 3.2 Gen 2 (10 Gbps)であるものを探します。検索結果(2023年8月時点)から、USB Type-C (USB 3.2 Gen 2)に対応しているものを列挙すると以下の通りです。

結果は、多くがEasyDIYの製品となりました。5.25インチベイ用のものが2種類、拡張スロット用のものが1種類、カードリーダー付きの5.25インチベイ用のものと3.5インチベイ用のものがそれぞれ2種類です。

5.25インチベイ用

2種類見つけました。

です。それぞれ、以下の特徴があります。

  • Type-C (USB 3.1 Gen 2)x1とType-A (USB 3.1 Gen 1)x2の端子
  • Type-C (USB 3.1 Gen 2)x1とType-A (USB 3.1 Gen 2)x3との端子とQC3.0 (Quick Charge 3.0)x2の充電用端子
EasyDIY 5.25インチベイ用 Type-A (USB 3.0) & Type-C (USB 3.1 Gen 2) (2020年6月時点 ¥4,999、2023年8月時点 ¥4,999)
EasyDIY 5.25インチベイ用 Type-A (USB 3.1 Gen 2) & Type-C (USB 3.1 Gen 2) & QC3.0 (2020年6月時点 ¥3,720、2023年8月時点 ¥3,720)

拡張スロット用

一種類見つけました。

この特徴は、PCの背面の拡張ボードスロットにType-C (USB 3.1 Gen 2)のポートを追加できます。ただ、今回の目的は、PCの前面にポートを増設することなので、使えません。

EasyDIY 拡張スロットパネル用 Type-C (USB 3.1 Gen 2) (2020年6月時点 ¥2,200、2023年8月時点 ¥1,999)

カードリーダー付き(5.25 / 3.5インチベイ用)

3種類見つけました。

です。これらは、USB 3.0 (USB 3.2 Gen 1)接続のメモリカードリーダーの機能を有しています。メモリカードリーダー機能以外については、以下の特徴があります。

  • 5.25インチベイ用:Type-A (USB 2.0) x 4とType-A (USB 3.0/USB 3.1 Gen 1) x 1とType-C (USB 3.1 Gen 2) x 1の端子とQC3.0 (Quick Charge 3.0) x 1の充電用端子
  • 3.5インチベイ用:Type-A (USB 3.0/USB 3.1 Gen 1) x 1とType-C (USB 3.1 Gen 2) x 1の端子
  • 3.5インチベイ用:Type-A (USB 3.0/USB 3.1 Gen 1) x 2とType-C (USB 3.1 Gen1) x 1とType-C (USB 3.1 Gen 2) x 1の端子

使用する拡張デバイスの決定

メモリカードリーダーをVAIO RCについていたのものを利用していました。これは、USB 2.0接続です。せっかくなので、メモリカードリーダーもUSB 3.0接続の速いものに変更することにしました。

メモリカードリーダー付きの選択肢は、三つしかありません。

QC3.0 (Quick Charge 3.0) の充電端子がついている5.25インチベイ用のものは機能的には魅力的です。しかし、VAIO RCの5.25インチベイのパネルはDiscドライブのトレイが開くときの物理的な押し下げを利用してパネルが開くのを想定しています。そのため、パネルを開きっぱなしにするには、常にパネルを押さえている必要があります。押さえていないとバネの力でパネルが閉じてしまします。この仕組みは、ケーブルをつなぐときやメモリカードをさすときには使いにくいです。

3.5インチベイ側のパネルは、バネの力で自動的に閉まる仕組みはありません。パネルを開いたら、開いたままです。こちらの方がメモリカードやUSBケーブルを接続するには適しています。

そのため、3.5インチベイ用のカードリーダー付きにすることにします。3.5インチベイ用のカードリーダー付きには、例として挙げたものには、二つあります。現在では、使用するメモリカードは、SDカードもしくは、microSDカードなので、Type-C端子が二つあるGRAUGEARのものでもよです。しかし、私が購入したときにはまだ発売されておらず、購入当時には、EasyDIY のものしかなかったので、EasyDIY のものを使うことにしました。

今回は、この10 GbpsであるUSB 3.2 Gen 2のType-Cのポートを前面に増設することを検討したかったのですが、マザーボード上のType-C Key Aヘッダー端子は、USB 3.2 Gen 1であったため、5 Gbps となります。将来的に10 Gbpsを使えるように、ケーブルやパネル側などはUSB 3.2 Gen2対応にします。


今回はVAIO RCのフロントパネルにType-C 端子を増設するための方法を考え、使用する部品を決定しました。

次回は、実際に部品を購入し、Type-C 端子をVAIO RCの前面パネルに増設したいと思います。

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