以前に説明した回復パーティションですが、最新のOSであるWindows 10で状況が変わりました。
Windows 10 2004
一年くらい前に回復パーティションについての投稿をしました。
- ストレージに作成される回復パーティションとは? #1 (パーティションの概要)
- ストレージに作成される回復パーティションとは? #2 (回復パーティションの内容)
- ストレージに作成される回復パーティションとは? #3 (アップグレード後のパーティション構成を確認する)
- ストレージに作成される回復パーティションとは? #4 (回復パーティションのサイズを変更する)
この第2回の投稿で、Windowsをクリーンインストールしたときの回復パーティションの情報を記載しました。これについて、Windows 10 2004で大きな変化がありました。
回復パーティションのWindows 8以降の実際のサイズ
第2回の投稿で日本語Windows(64ビット)の各バージョンをクリーンインストールしたとき、Windows回復環境(Windows RE)用に作成される回復パーティションのサイズの情報を報告しました。今回は、この第2回の情報に、Windows 10 1903以降の情報を追加しました。
- Windows 8: 300MB (205MB)
- Windows 8.1: 300MB (224MB)
- Windows 10 1507: 450MB (307MB)
- Windows 10 1511: 450MB (311MB)
- Windows 10 1607: 450MB (323MB)
- Windows 10 1703: 450MB (372MB)
- Windows 10 1709: 499MB (392MB)
- Windows 10 1803: 499MB (393MB)
- Windows 10 1809: 499MB (405MB)
- Windows 10 1903: 529MB (407MB) (ビルド 18362.30)
- Windows 10 1909: 529MB (460MB) (ビルド 18363.418)
- Windows 10 2004: 548MB (446MB) (ビルド 19041.264)
カッコの前が回復パーティションのサイズ、カッコ内は回復イメージ(winre.wim
ファイル)のサイズです。
winre.win
ファイルのサイズは、インストールに使用したisoイメージの違いで異なるようです。また同じisoイメージを使った時でも、クリーンインストールとアップグレードでは、サイズが異なるようです。一般的にアップグレードの方がサイズが大きくなります。そのため、これらの値は参考としてください。
Windows 10 2004で、回復パーティションのサイズ、および、winre.win
ファイルのサイズが大きくなっているのがわかります。
パーティション構成
Windows 10 2004で大きく変化があったのは、クリーンインストール時のパーティション構成です。
Windows 10 1909クリーンインストール時の構成
クリーインストール直後のパーティション構成をdiskpart.exe
で確認します。
DISKPART> list part Partition ### Type Size Offset ------------- ------------------ ------- ------- Partition 1 回復 529 MB 1024 KB Partition 2 システム 100 MB 530 MB Partition 3 予約 16 MB 630 MB Partition 4 プライマリ 126 GB 646 MB
パーティション構成は、回復パーティションが先頭にあることがわかります。構成やサイズなどは、Windows 10 1903と変化はありません。
Windows 10 1903とWindows 10 1909は、基本的に同じもので、特定の機能を有効化しているかしていないかの違いのみです。そのため、違いがないものと思われます。
「ディスクの管理」でもパーティション構成を確認します。
回復パーティションの空き領域を確認すると、全体が529MBに対して、空き領域が513MBとなっています。6MBしか使われていません。これは普通の状態とは異なります。
そこで、回復用のイメージがどこにあるかReAgentc.exe
で確認します。
C:\Windows\system32>ReAgentc.exe /info Windows 回復環境 (Windows RE) およびシステム リセット構成 情報: Windows RE の状態: Enabled Windows RE の場所: \\?\GLOBALROOT\device\harddisk0\partition4\Recovery\WindowsRE ブート構成データ (BCD) ID: 4cf99c04-66b8-11ea-995a-916cc451f15b 回復イメージの場所: 回復イメージ インデックス: 0 カスタム イメージの場所: カスタム イメージ インデックス: 0 REAGENTC.EXE: 操作は成功しました。
回復イメージ(winre.win
)が、partition4
にあることがわかります。partition4
とは、Windowsのシステムドライブ(C:\
)のパーティションです。
Windows 10 1909は、クリーンインストールといっても、Windows 10 1903からのアップグレード相当です。そのため回復イメージのwinre.win
ファイルのサイズが大きくなります。サイズが大きくなったことで回復パーティションのサイズが足りず、システムドライブに回復イメージが作成されたものと思われます。
実際にwinre.win
ファイルのサイズは、407MB (Windows 10 1903), 460MB (Windows 10 1909)です。回復パーティションのサイズは529MBなので、ファイルは配置できそうです。しかし、第2回に記載したように回復イメージを配置するときはパーティションの空き領域の制限があるので、システムドライブに作成されたのだと思います。
Windows 10 2004クリーンインストール時の構成
クリーインストール直後のパーティション構成をdiskpart.exe
で確認します。
DISKPART> list part Partition ### Type Size Offset ------------- ------------------ ------- ------- Partition 1 システム 100 MB 1024 KB Partition 2 予約 16 MB 101 MB Partition 3 プライマリ 126 GB 117 MB Partition 4 回復 548 MB 126 GB
パーティション構成は、Windows 10 1909までと大きく異なります。まず、回復パーティションが先頭から最後に移動しました。回復パーティションのサイズも19MB大きくなりました。
「ディスクの管理」でもパーティション構成を確認します。
回復パーティションの空き領域を確認すると、全体が548MBに対して、空き領域が83MBとなっています。465MB使われています。回復イメージが回復パーティションに配置されているということですね。
念のため、回復用のイメージがどこにあるかReAgentc.exe
で確認します。
C:\Windows\system32>ReAgentc.exe /info Windows 回復環境 (Windows RE) およびシステム リセット構成 情報: Windows RE の状態: Enabled Windows RE の場所: \\?\GLOBALROOT\device\harddisk0\partition4\Recovery\WindowsRE ブート構成データ (BCD) ID: 8ed56181-66c0-11ea-9def-975b4a23e206 回復イメージの場所: 回復イメージ インデックス: 0 カスタム イメージの場所: カスタム イメージ インデックス: 0 REAGENTC.EXE: 操作は成功しました。
回復イメージ(winre.win
)が、partition4
にあることがわかります。partition4
は、回復パーティションです。回復イメージが理想的な場所に配置されていることがわかりました。
回復パーティションが一番後ろに移動
Windows 10 2004では、クリーンインストール時にパーティションを作成した場合、回復パーティションの位置が一番後ろに作成されるようになりました。
Windows 10 1909までは、クリーンインストール時にパーティションを作成したとしても、回復パーティションが先頭に作成されました。そのため、アップグレードに伴い、回復パーティションのサイズが足りなくなったときは、別の回復パーティションが作成されたり、回復イメージがシステムドライブのパーティションに配置されたりしました。
回復パーティションが最後にあれば、サイズが足りなくなったときでも、サイズを拡張することができます。回復パーティションが最後にある場合、回復パーティションの直前は、システムドライブのパーティションとなります。システムドライブのパーティションは、システムドライブに空き領域があれば、パーティションの後部は使用されません。そのため、システムドライブのパーティションを縮小して、縮小した分を回復パーティションの先頭に足すことにより、回復パーティションを拡張することできます。
今後は、回復パーティションのサイズが足りなくなって、回復イメージがシステムドライブのパーティションに配置されることはなくると思います。
なお、第3回で投稿したように、Windows 10がはじめからインストールされているメーカー系のPCの場合は、以前から、回復パーティションが最後に作成されていました。クリーンインストールでもやっとその状態に追いついたことになります。
また、第4回で投稿したように、手動でストレージの最後の部分に回復パーティションを作成し、回復イメージを移動するなどの操作は今後は必要なくなります。
以上、Windows 10 2004での回復パーティションに関する改善点でした。