米Micosoftが主催する開発者カンファレンスが毎年米国で開催されます。Microsoft Buildです。今年も去年と同じ場所の米国ワシントン州のシアトルで開催されました。会場の雰囲気などを報告したいと思います。 1回目の投稿の続きです。 なお、この投稿では前回同様に基調講演やブレイクアウトセッションの内容にはほぼ触れていません。
この投稿では、Microsoft Buildの雰囲気を伝える内容に特化しています。基調講演やセッションの内容については、前回の投稿の最後にあるリンクを参考に別のサイトを参照してください。
日程
まずは、日程のおさらいです。今年のMicrosoft Buildは、以下の日程で開催されました。
Preview 5月5日(日) | Registration & Badge Pickup 参加登録と参加証の取得 |
Day 1 5月6日(月) | Imagine Cup, Vision keynote, Technology keynote, Breakout sessions & workshops イマジンカップ、 ビジョン基調講演と技術基調講演とセッション&ワークショップ |
Day 2 5月7日(火) | Breakout sessions & workshops, hands-on with Intel セッション&ワークショップ、インテルハンズオン |
Day 3 5月8日(水) | Breakout sessions & workshops, hands-on with Intel セッション&ワークショップ、インテルハンズオン |
Post Day 5月9日(木) | Post Day Session トレーニングセッション |
基調講演では、これからの方向性や新しい製品・新しい技術などが紹介されます。
セッションでは、基調講演で新しく発表されたものも含め、掘り下げた内容や技術情報など詳しい内容の説明があります。
ワークショップでは、実際にPC上で作業して技術の習得をします。
また、期間を通して、ExpoをHallで行っており、Sponsors, Exhibitors, Microsoftがブースを構えていろいろな技術説明・展示をしていました。
今回は、Day 1の基調講演からの記載です。
Day 1 (5月6日(月))
Vision Keynoteの会場
去年の基調講演の会場は、奥行き方向に長い設営でした。そして、ステージの真ん中のスクリーンは上にあげることもでき、プレゼンテーションの途中では、スクリーンを上げ、その後ろから会議室などが現れてデモンストレーションなどが行われました。
今年の基調講演の会場は、去年とは異なりますが例年通りの横方向に長い設営でした。
また、例年は基調講演専用の会場を使て行います。その会場は椅子で埋め尽くされています(プレス席のみテーブル付き)。基調講演が終わった後は、その部屋に壁を追加して数部屋に分けて、セッションルームと使っていました。
しかし、今年の基調講演会場は、基調講演専用の会場ではありませんでした。Expo内の会場の一部を使って行っていました。そのため、基調講演会場が椅子で埋め尽くされていることはありませんでした。一部のエリアだけ、テーブル付きの椅子が配置されていました。一部のエリアといっても部屋の規模が大きいのでおおよそ400席くらいはあったかと思います。
もちろん、その席の中央前方付近は、プレス向けの席として予約されていました。そのため、席に座れた一般参加者は総参加者数に対して少人数だったと思います。
上記の写真が会場のパノラマ写真です。画像が荒くて見にくいですが、270度くらいの範囲のパノラマ写真です。真後ろの範囲が映っていない感じの写真です。テーブル席より後ろでは、みんな立って観覧しています。
また、Build 2019の会場にはいろいろなところにスクリーンが設置してあります。ミニシアターやミニスタジオです。基調講演中は、それらすべてのスクリーンでリアルタイムにストリーミング上映していたようです。そのため、それらのスクリーンで視聴していた人も多いと思います。
Build 2019開始
通常、Day 1はマイクロソフトCEOのビジョン基調講演から始まります。しかし今年は違いました。ビジョン基調講演の前に、Imagine Cup World Championship (イマジンカップ世界チャンピオンシップ) がありました。
Imagine Cup World Championship の後に、CEO のサティア・ナデラ氏(Satya Nadella)によるビジョン基調講演があり、その後はテクノロジー基調講演、セッション&ワークショップです。ビジョン基調講演の内容はすでに公開されているので、詳細はこちらのビデオ(英語、日本語)をご覧ください。
Imagine Cup World Championship
Imagine Cupは、このサイトにあるように、
Imagine Cup は、次世代のコンピューター科学の学生がチームを組み、自分たちの創造性、情熱、テクノロジの知識を基に、生活、仕事、遊びのあり方を形作るアプリケーションを構築できるようにする世界的な大会です。毎年、世界中の何万人もの学生が賞金や旅行、賞品を獲得するため、さらに Imagine Cup を持ち帰る栄誉を勝ち取るために競い合います!
https://imaginecup.microsoft.com/
という内容の、マイクロソフトがスポンサーをしているイベントです。
このImagine Cupの2019年の世界チャンピオンシップがBuild 2019の基調講演の前にありました。世界から勝ち上がってきた3チームがプレゼンを行い、その中から優勝者が選ばれました。勝ち上がってきた3チームは、アメリカ(アメリカ大陸地域)、インド(アジア地域)、イギリス(EMEA地区、ヨーロッパ・中東・アフリカ地域)からのチームです。
- World Champion: Team EasyGlucose, United States
EasyGlucoseは糖尿病患者のための血糖を非侵襲的にモニターするための新しい方法です。スマホで撮影した、眼の画像の虹彩の形態学的変動を分析して患者の血糖値を予測します。画像の深層学習がふんだんに使われています。 - 2nd place: Team Caeli, India
Caeliは喘息患者と慢性呼吸器疾患患者のために特別に設計されたスマートな自動化された汚染防止・薬剤投与するマスクです。 マスクの一部が取り換え式でカラーバリエーションまで考えていましたね。 - 3rd place: Team Finderr, United Kingdom
Finderrは、視覚障害のある人が自分のスマホを使って紛失した物を見つけやすくするためのアプリケーションソリューションを開発しました。コグニティブサービスと仮想マシンなどを利用しています。
詳細が気になる方は、以下のビデオ(英語)を見てください。
- 最終選考のビデオ (Imagine Cup World Championship)
- インタビュービデオ (Imagine Cup Winners on Stage Live with Corey Sanders)
これらは2019年5月時点での有効なリンクです。
Vision Keynote (ビジョン基調講演)
ビジョン基調講演のまえに、HoloLens 2を使ったデモがありました。
HoloLens 2のデモ
しかしうまくいかなかったようで、ハヤテのごとく去っていきました。
マイクロソフトのイベントでは、うまくいかないときのために、2重、3重にバックアッププランを用意していると思いますが、今回は全くダメだったようです。基調講演でここまできれいな失敗は珍しいと思います。
なお、HoloLensのデモは、広い会場では原理的に難しいようです。とうのは、
- 広い会場では、位置決めの周りに基準にできる物体がなく空間的な位置決めが難しい
- 会場側は暗く、これまた 空間的な 位置決めが難しい
という会場特有の原因がありそうです。ただ、HoloLensの実際の用途では、目の前や周りの近くに、ほぼ物体があります。そのため、空間的位置決めに関して問題になることはないと思います。
デモがうまくいったときのビデオは以下に公開(2019年5月時点)されていました。
- Apollo 11 HoloLens 2 Demo | Microsoft Build 2019 | Unreal Engine
Expo内の別のスタジオからの中継
基調講演中、何度か別の会場から詳細説明やデモなどがライブ中継で基調講演のスクリーンに映されました。
この別の会場は、実際には同じExpo会場内に設営されたミニシアターやスタジオ、デモブースでした。
Day 2 (5月7日(火))
例年のBuildでは、Day 1/Day 2の午前に基調講演がありました。しかし、今年のBuild 2019では基調講演はDay 1ですべて終わり、Day 2では基調講演はありませんでした。この日は米国カルフォルニア州のMountain ViewでGoogle I/O 2019の基調講演がある日だったので避けたのでしょうか?
このため、この日はセッション&ワークショップのみです。また、基調講演があったExhibit Hallでは、The Hub (expo & theaters) を開催しています。
The Hub
The Hubは、
- Microsoft Showcase & Partner Zone
- Community Zone
- Student Zone
- Microsoft Store & Book Store
など複数のエリアに分かれています。
Microsoft Showcase & Partner Zone
Microsoft Showcase & Partner Zoneではマイクロソフト・関係会社・協力会社などが各技術の紹介をしています。
これらはマイクロソフトのブースです。写っている範囲だけでも、
- Outlook Extensibility
- Template Studio + Windows Community Toolkit
- Adaptive Cards
- Microsoft Teams
- Power BI
- Microsoft 3D
- Fluent Design System
- Bing Maps API
- Microsoft News
- Dynamics 365
などがあります。実際にはもっと多くのブースがありました。
また、パートナーのブースは以下の感じです。
パートナーブースは、写っている範囲の3倍くらいの面積はあったと思います。
このゾーンの一部にTherapy Animal Area (セラピー動物エリア)がありました。去年はポニーやウサギがいましたが、今年は犬でした。
Community Zone
このゾーンでは、
- Microsoft Build Live
- The Hub Theater
- Hang out
- Microsoft Learn
- Meet-up
- Code
- Talk Tech
- Sneak Peek
- Debug
- Microsoft AI
のエリアがあります。
Codeのエリアでは多くの領域を扱っています。
最後のSurfaceneak Peek Area(こっそり教えてエリア)では、参加者にいろんなアンケートしていました。
たとえば、 UIフレームワークのセクションのときは、
- このライブラリは使っている?
- この機能は実装したら使う?
- UIフレームワークに何を使っている?
など。
Microsoft Store & Book Store
Microsoft Storeでは、Surfaceなどのマイクロソフト製品を割引価格で購入できたり、マイクロソフトのグッズ(Tシャツ、マグカップ、ペンなど)が購入できたりします。
Book Storeでは、主にコンピューターに関連する技術に関する書籍が購入できます。おいてあるすべての本が2割引きでした。
Student Zone
Student Zoneでは、将来の開発者(学生)たちが技術を学んだり、プロの開発者などとコミュニケーションをとることができます。
今年のBuildは、例年のBuildと異なるところがあります。ここが関係しています。今年は参加申し込みした時に、以下のような案内が来ました。
New! Future coders welcome. Parents, bring your aspiring developer child (age 14-21) to the conference for free.
今年のBuildは、大人がBuildの参加費を払っていれば、子供(14歳から21歳)がBuildに無料で参加することができました。そのため、今年の会場には子供も数多くいました。
学生ゾーンのDIYエリアでは、学生たちがパソコンに向かって作業をしていました。周りにいる大人たちは、みんな開発のプロフェッショナルなので、わからないことがあれば、いつでも周りに質問できますね。
Day 3 (5月8日(水))
この日も基調講演はなく、すべての時間がセッション&ワークショップです。
すべてのセッションの資料や映像はマイクロソフトが公開しています。
https://developer.microsoft.com/en-us/events/build/content
セッションの詳細は上記を参照してください。
会場の移動
セッション&ワークショップの時間は、午前から午後まで5個の枠に分かれており、枠の間は30分の休憩&移動時間がとられています。セッション&ワークショップは国際会議場のメイン会場と道路反対の国際会議場の別館、および、シェラトンホテル3階の会議部屋と3つの拠点で行われます。
メイン会場だけでもかなり広いのですが、3つの拠点で開かれているので、移動時間には大移動が始まります。エスカレーターも写真のように大渋滞です。ただ、日本のようにエスカレーターの片側を歩く姿や、片側を空けておく姿は、まったく見られません。混んでいるときは、片側を空けておくより2列で使ったほうが、短時間当たりの運搬容量が倍になるので効率的です。
エスカレーターでちょまどさんを発見
そういえば、Day 1の日ですが、会場の上記の写真の上りエスカレーターでマイクロソフトの千代田まどか(ちょまど)さんに会いました。
はじめは、エスカレーターの踊り場で、大人男性と小さい女性が話しているように見えたので、てっきり父親とついてきた娘(今回のBuildは親についてきた子供(14歳から21歳)は無料なので子供も多い)かと思いました。この時点では日本人とはわりませんでした。
エスカレーターで私の後ろに偶然に二人が乗ってきました。すると日本語で話していました。なんか聞いたことのある声なので、振り向いたら、ちょまどさんに似ていました。そこで「もしかして、ちょまどさんですか?」と聞いたら「はいそうです」とのこと。二人は親子ではなく、日本から来たマイクロソフトの人でした。
私と同じく、ちょまどさんもブレイクアウトセッションの部屋の移動中でした。長いエスカレーター上で日本からのフライトの話を少した後、私は目的のブレイクアウトセッションの部屋に向かいました。しかし目的のセッションは満席で入れませんでした。
そうなんです、Buildでは人気のあるブレイクアウトセッションは、時間の早い段階で満席になることがあります。このセッションも満席にでした。
そこでUターンして別のセッションに行こうとしたら、また、ちょまどさんを見かけました。ちょまどさんも満席と分かってUターンしていたので、その時間帯は私と同じセッションに参加しようとしていたようです。
ホールでのライブ
また、会議室の外のホールではライブも行っていました。ただ、私には有名な人なのかどうかは良くわかりません。しかし、日本で開催されるような開発者イベントでは、ライブが行われているのはほとんど見たことがありません。
今年のMicrosoft Buildは、こんな感じでした。もしかしたら、この2回の投稿で書ききれなかった内容を追加投稿するかもしれません。
なお、この投稿では、Microsoft Buildの雰囲気を伝える内容に特化しています。基調講演やセッションの内容については、前回の投稿の最後にあるリンクなどを参考に別のサイトを参照してください。