VAIO RCのケースで最新PC(Z790、第13世代CPU)を組み立てる#7 ドライバーソフトウェアの準備

前回までに、最低限の部品でPCを組み立て、インストールイメージのUSBメモリを準備しました。今回は、OSをインストールときに必要となる追加のドライバーソフトウェアの準備をします。

Windows のインストールイメージとドライバーソフトウェア

Windowsのインストールイメージには、OSイメージだけでなく、PCのデバイス(USB、キーボード、マウス、グラフィックスなど)を利用するために必要なドライバーソフトウェアが入っています。インストールに必須ではないデバイスのドライバーソフトウェアは、必要に応じて、Windowsのインストールが終わった後に、ネットワーク経由でダウンロードして、インストールされます。

これにより、Windowsをインストールするときには、別途ドライバーソフトウェアを用意する必要はありません。

ただし、インストールイメージに入っているドライバーソフトウェアは、インストールするときに必要となる標準的な機能をサポートしたものもあります。たとえば、グラフィックスドライバーは標準的な機能のみをサポートしたものです。

標準的な機能のドライバーソフトウェアではそのデバイスの機能を有効活用できません。そのため、デバイスの機能を有効活用できる専用のドライバーソフトウェアは、Windowsのインストールが終わった後に、ネットワーク経由でダウンロードして、更新されます。

ただし、Windowsがリリースされた後に出てきた新しいデバイスのドライバーソフトウェアは、Windowsのインストールに必須であったとしても、インストールイメージには入っていません。Windowsのリリース当時に存在しないデバイスなので、対応するドライバーソフトウェアもないので入っていなくても仕方がありません。

このような状況に対応するために、Windowsのインストール手順では、途中でドライバーソフトウェアを追加インストールすることができるようになっています。

Windows 11のインストールイメージとインテルのチップセット

Intel Core CPUを使うマザーボードの場合、インテルのチップセットが使われています。インテルのチップセットは、Windowsのインストールに必須のデバイスのため、Windowsのインストールイメージには、インテルのチップセットに関連するドライバーソフトウェアが入っています。そのため、Windowsをインストールするために、別途、追加のドライバーソフトウェアを用意する必要はありません。

ところが、最近のチップセットでは、Windowsのインストールに必要なストレージの接続に関する機能が更新されました。

Intelチップセットが500番台以前(第11世代Intel CPU以前)のマザーボード

少し古めのマザーボード(Intelチップセットが500番台以前、第11世代Intel CPU以前)の場合は、多くはWindowsのインストールイメージを準備するだけで、簡単にクリーンインストールできます。なぜなら、インストール対象となるデバイスを動作させるために必要なドライバー ソフトウェアがWindowsのインストールイメージに入っているからです。

Intelチップセットが600番台以降(第12世代Intel CPU以降)のマザーボード

しかし、最近のマザーボード(Intelチップセットが600番台以降、第12世代Intel CPU以降)の場合、チップセットにストレージに関する新たな機能が追加されました。そのため、インストール時にストレージが見つからないという問題が起きることがあります。

これは、チップセットのストレージに関する新しい機能に対応するドライバーソフトウェアがWindowsのインストールイメージに入っていないことが原因です。結果として、そのストレージに関する機能が使えず、ストレージが見つからない状況になります。

これはWindowsのインストールイメージがリリースされた後に、チップセットに新しい機能が実装されたことが原因であり、Windowsのインストールイメージのバグではありません。Windowsのリリースの時にはチップセットにその新機能が存在しなかったので、その時点では新機能に対応したドライバーソフトウェアはありません。そのためWindowsのインストールに必須なドライバーソフトウェアであっても、Windowsのインストールイメージには入っていません。

このような状況にも対処できるように、Windowsのインストール画面では、必要となるタイミングで、ドライバーソフトウェアを追加インストールできるようになっています。

Windowsのインストールに必須のデバイス

Windowsのインストールには、以下のデバイスが必要です。

  • インストール元となるWindowsのインストールイメージが入ったUSBメモリ
  • インストール画面を進めるためのキーボード・マウス
  • インストール先となるストレージ
  • ネットワークに接続するためのネットワークデバイス(LANやWi-Fi)

USBメモリ

USBメモリは、Windowsのインストールイメージのメディアとして使います。

Windowsのインストールイメージのメディアは、昔であればDVDディスクなどでした。しかし、近年のPCには光ディスクドライブが付属していません。そのため、近年では、インストールイメージのメディアとしてはUSBメモリを利用します。

USBメモリは、名前の通りUSB経由の接続となります。チップセット経由のUSB接続であればWindowsのインストールイメージに入っているドライバーソフトウェアで対応できます。

USBメモリには、前もって、Windowsのインストールイメージをコピーしておきます。

Windowsのインストールイメージは、マイクロソフトのホームページからダウンロードできます。USBメモリにWindowsのインストールイメージを書き込む方法は、前回の投稿で説明しました。

キーボード・マウス

キーボード・マウスは、インストール画面を進めるために必要となります。USB接続、PS/2接続のどちらであっても、Windowsのインストールイメージに入っているドライバーソフトウェアで対応できます。

ストレージ

インストール先となるストレージは、SATAやNVMeのインターフェース経由での接続となります。

インテルのチップセット500番台、および、それ以前はストレージの接続の仕組みが同じであるため、同じドライバーソフトウェアで対応できます。そして、そのドライバーソフトウェアはWindowsのインストールイメージに含まれています。

しかし、インテルのチップセットが600番台以降では、ストレージの接続に関して新しい仕組みが導入されました。Intel VMD(インテル ボリューム・マネジメント・デバイス)技術です。この技術は、インテルのチップセット500番台以前の仕組みと互換性がありません。そのため、新しいドライバーソフトウェアが必要です。しかし、このドライバーソフトウェアは、Windowsのインストールイメージに含まれていません。

インテルのチップセットが600番以降であり、Intel VMDの仕組みを利用する場合は、WindowsのインストールイメージにIntel VMDのドライバーソフトウェアが含まれていないため、Intel VMDのドライバーソフトウェアを事前に入手しておき、Windowsのインストール途中で、そのドライバーソフトウェアをインストールする必要があります。

ネットワーク デバイス

Windows 11では、一部の例外を除き、組織や学校などでのAzure ADアカウントや個人のマイクロソフト アカウントでの利用が前提となっています。そのため、Windows 11のインストールでは、インストールの途中で、Azure ADアカウントやマイクロソフトアカウントのサインイン、もしくは、マイクロソフトアカウントの作成が求められます。

アカウントのサインインや作成は、PCがネットワークに接続していることが前提となります。そのため、Windows 11のインストール中にネットワークにつながっていることが必要となります。

ネットワークに接続するためには、PCのLANやWi-Fiデバイスが利用できる必要があり、それらのデバイスのドライバーソフトウェアが必要となります。Windowsのインストールイメージは、一般的なネットワークデバイスのドライバーソフトウェアが含まれています。そのため、多くの場合は、Windows 11のインストール時も、追加の手順は必要なく、ネットワークデバイスが使える状態となります。

PCのネットワークデバイスによっては、そのネットワークデバイスのドライバーソフトウェアが、Windowsのインストールイメージに含まれていないことがあります。

Windowsのインストールイメージに使用するネットワークデバイスのドライバーソフトウェアが含まれていない場合、ネットワークデバイスのドライバーソフトウェアを事前に入手しておき、Windowsのインストール途中で、そのドライバーソフトウェアをインストールする必要があります。

Intel VMD(インテル ボリューム・マネジメント・デバイス)技術

Intel VMD(インテル ボリューム・マネジメント・デバイス)は、システムストレージのパフォーマンスを最大5%向上させるとともに、PCIe NVMeストレージの互換性問題を緩和するというユーザーにメリットのある新技術です。

このIntel VMDはインテルのチップセットの600番台以降を搭載したマザーボードで利用できます。これらのIntel VMDをサポートしたマザーボードでは、

  • 従来の方式のストレージの接続
  • Intel VMDを有効にしたストレージの接続

の両方が利用できます。ただし、マザーボードによって、Intel VMDが有効になっているか・無効になっているかの既定値が異なります。

このIntel VMDを有効化したマザーボードにWindowsをインストールするときは、Intel VMDのドライバーソフトウェアが別途必要となります。

ドライバーソフトウェアの準備

Windowsのインストールイメージに含まれていないインストール時に必須なドライバーソフトウェアは、事前に入手しておく必要があります。

ドライバーソフトウェアは、マザーボードに付属のCD-ROM/DVD-ROMに入っています。ただ、光ディスクドライブが無いとアクセスできません。光ディスクドライブがない場合は、インターネットにつながる別のPCで、マザーボードメーカーのホームページからダウンロードします。

ASUSのマザーボードPRIME Z790M-PLUS D4-CSM では、ASUSのホームページからダウンロードします。

https://www.asus.com/jp/motherboards-components/motherboards/prime/prime-z790m-plus-d4-csm/helpdesk_download/?model2Name=PRIME-Z790M-PLUS-D4-CSM

ASUSのマザーボードPRIME Z790M-PLUS D4-CSMでは、Windows 11のインストールのためにIntel VMDと有線LANのドライバーソフトウェアが必要となります。

Intel VMD

Intel VMDのドライバーソフトウェアは、ASUSのダウンロードページでは、SATAセクションにあります。SATAセクションにあるIntel Rapid Storage Technology Driver softwareがIntel VMDの機能を含むドライバーソフトウェアとなります。

これをダウンロードします。2023年4月時点では、

Intel Rapid Storage Technology Driver software V19.5.0.1037 for Windows 10 64-bit & Win11 64-bit---(WHQL).

のV19.5.0.1037が最新バージョンとなります。

LAN

マザーボードにあるLAN端子のドライバーソフトウェアは、ASUSのダウンロードページでは、LANセクションにあります。LANセクションにあるIntel LAN Driver がLAN端子のドライバーソフトウェアとなります。

これもダウンロードします。2023年4月時点では、

Intel LAN Driver V12.19.2.45 for Windows 10 64-bit & Win11 64-bit---(WHQL).

のV12.19.2.45が最新バージョンとなります。

ドライバーソフトウェアをUSBメモリに追加

用意した追加のドライバーソフトウェアはインストール用のUSBメモリの任意のフォルダーにコピーします。

Windowsのインストール途中にドライバーソフトウェアを追加インストールするときはzipファイルの展開などはできません。ダウンロードしたドライバーソフトウェアがzip形式などで圧縮されている場合は、展開したものをUSBメモリにコピーします。

Windows 11のインストールイメージの準備の完了

USBメモリに、Windows 11のインストールイメージをコピーし、また、追加のドライバーソフトウェアをコピーしたら、インストールメディアの作成は完了です。

次の作業は、このUSBメモリを使ってWindows 11のインストールです。


Windows 11のインストールイメージとWindows 11のインストールに必要なドライバーソフトウェアの準備ができました。次回は、実際のインストールについて紹介します。

“VAIO RCのケースで最新PC(Z790、第13世代CPU)を組み立てる#7 ドライバーソフトウェアの準備” への2件の返信

  1. こちらの記事を参考にしてやっとインストール出来ました、ありがとうございます!

コメントを残す