Precision 3660やOptiPlex 7010などのDELLのPCには、互換性のあるメモリモジュールが必要であることが分かりました。最近購入した OptiPlex Tower Plus 7010でも互換性のあるメモリモジュールが必要になりました。しかし、動作実績のあるメモリモジュールは販売終了で新規購入できません。そこで、別のメモリモジュールを検討します。
まずは、前回の投稿のおさらいから。
ARKが取り扱っている互換性がありそうなメモリモジュール
これまでの結果では、
- 相性保証があるCDFのメモリモジュールには使えるものがない
- Precision 3660で動作実績のあるARKのDDR5-4800メモリモジュールは販売終了で購入できない
となり、動作において実績または確実性のあるメモリモジュールは入手できないことになりました。
そこで、ARKが扱っているメモリモジュールの中で、動作しそうなメモリモジュールがないか確認しました。候補に以下の二つがありました。
- SanMax SMD5-U64G88H-56B-D 「SKhynix Edition」
288pin DDR5-5600 CL46 64GB(32GBx2枚組) 1.1Volt JEDEC/SPD - ARK ARD5-U64G88SB-56B-D「Samsung Edition」
288pin DDR5-5600 CL46 64GB(32GBx2枚組) 1.1Volt JEDEC/SPD
ARKの扱っているメモリモジュールは、SPD / XMP / EXPO の情報がWEBサイトに記載されています。上記の二つは、XMP 情報もEXPO 情報も含んでいません。なので、DELL製PCでも利用できる可能性が大きいです。
なお、上記のメモリモジュールのメモリ規格は、DDR5-5600です。
OptiPlex Tower Plus 7010 は、動作可能なメモリ規格の上限は、DDR5-4400です。Precision 3660でも、動作可能なメモリ規格の上限は、同じDDR5-4400です。
JEDEC準拠のDDR5のメモリモジュールは、上位規格のメモリモジュールは下位規格の仕様でも動作します。そのため、PC側がDDR5-4400であっても、DDR5-5600のメモリモジュールを使って動作可能です。
どちらのメモリモジュールもXPM情報が含まれていないので、DELL製PC上で利用可能と思われます。
Precision 3660 で動作実績のあるメモリモジュールにはSK hynix 製のメモリチップが使用されていました。そのため、今回もSK hynix 製のメモリチップが使われている
SanMax SMD5-U64G88H-56B-D 「SKhynix Edition」
を試してみることにします。
実際に入手したSanMax SMD5-U64G88H-56B-D 「SKhynix Edition」のメモリモジュールは以下です。製品の箱などの外観は前回の投稿を参照してください。
Precision 3660で各メモリモジュールをBIOSのOverviewで検証
以下の三つのメモリモジュールについて、Precision 3660 のBIOSのOverview画面で確認しました。
- OptiPlex Tower Plus 7010 のDELL純正の DDR5-4800 8GB x 1
- Ark ARD5-U64G88HB-48B-D の DDR5-4800 32GB x 2
- SanMax SMD5-U64G88H-56B-D の DDR5-5600 32GB x 2
まずは結果から、どの組み合わせでも、Precision 3660は互換性のあるメモリとして判断され、動作することが確認できました。ただし、組み合わせにより、メモリの動作速度やチャンネルモードは異なります。最大では4400MHzの速度で、デュアルチャネルで動作しました。
Precision 3660で互換性のあるメモリモジュールとして判断されたということは、OptiPlex Tower Plus 7010でも互換性のあるメモリモジュールとして判断される可能性が高くなりました。
続いて詳細を確認します。
OptiPlex Tower Plus 7010 のDELL純正の8GBメモリモジュール
OptiPlex Tower Plus 7010 に付属のDELL純正の8GBメモリは、DDR5-4800です。このメモリモジュールを一つだけPrecision 3660に取り付けた場合、BIOS上では、8GBで4400MHz、シングルチャネルとして駆動されているることが分かります。
Arc ARD5-U64G88HB-48B-D
Arc ARD5-U64G88HB-48B-D の 32GB x 2 メモリは、DDR5-4800です。このメモリモジュールを二つPrecision 3660に取り付けた場合、BIOS上では、64GBで4400MHz、デュアルチャネルとして駆動されているることが分かります。
SanMax SMD5-U64G88H-56B-D
SanMax SMD5-U64G88H-56B-D の 32GB x 2 メモリは、DDR5-5600です。このメモリモジュールを一つだけPrecision 3660に取り付けた場合、BIOS上では、32GBで4400MHz、シングルチャネルとして駆動されているることが分かります。
このメモリモジュールを二つPrecision 3660に取り付けた場合、BIOS上では、64GBで4400MHz、デュアル チャネルとして駆動されているることが分かります。
これで、SanMax SMD5-U64G88H-56B-Dが64GBの増設メモリとしてDELL製PCに利用可能なことが分かりました。
SamMax SMD5-U64G88H-56B-D + OptiPlex plus 7010純正メモリ
SanMax SMD5-U64G88H-56B-D の 32GB x 2メモリは、DDR5-5600です。DELL純正の8GBメモリは、DDR5-4800です。
これらのメモリモジュールを三つPrecision 3660に取り付けた場合、BIOS上では、72GBで2000MHz、シングル チャネルとして駆動されているることが分かります。周波数が2000MHzとなっていますが、表示上の間違いで、実際には4000MHzではないかと思われす。
SanMax SMD5-U64G88H-56B-D + Arc ARD5-U64G88HB-48B-D
SanMax SMD5-U64G88H-56B-D の 32GB x 2メモリは、DDR5-5600です。ARD5-U64G88HB-48B-D の 32GB x 2メモリは、DDR5-4800です。
これらのメモリモジュールを四つ取り付けた場合、BIOS上では、128GBで2000MHz、デュアル チャネルとして駆動されているることが分かります。周波数が2000MHzとなっていますが、表示上の間違いで、実際には4000MHzではないかと思われす。
各メモリモジュールの組合せののまとめ
各メモリモジュールの組み合わせの結果をまとめると以下の表になります。どの組み合わせでも、メモリモジュールが2枚以下の組み合わせでは、4,400MHzの上限速度で動作しています。逆にメモリモジュールが3枚以上の組み合わせでは、上限速度では動作せず、速度が下がります。
Precision 3660のメモリを最高速で動作させたい場合は、2枚のメモリモジュールで構成する必要があります。それを満たす最大メモリの組み合わせは、32GB x 2 であり、最大64GBとなります。
組合せ | 8GB x 1 DDR5-4800 DELL純正8GBメモリ | 32GB x2 DDR5-4800 ARD5-U64G88HB-48B-D | 32GB x 2 DDR5-5600 SanMax SMD5-U64G88H-56B-D | BIOS上のOverview画面の表示 |
---|---|---|---|---|
#1 | x 1 | 8GB 4,400MHz シングル チャネル | ||
#2 | x 2 | 64GB 4,400MHz デュアルチャネル | ||
#3 | x 2 | 64GB 4,400MHz デュアルチャネル | ||
#4 | x 1 | x 2 | 72GB 2,000MHz シングル チャネル | |
#5 | x 2 | x 2 | 128GB 2,000MHz シングル チャネル |
メモリモジュールをcpuzのメモリ情報で確認
以下の二つのメモリモジュールについて、Precision 3660上で64GBの組み合わせと128GBの組み合わせの各状態をCPU-Zのメモリ画面で確認しました。
- Ark ARD5-U64G88HB-48B-D の DDR5-4800 32GB x 2
- SanMax SMD5-U64G88H-56B-D の DDR5-5600 32GB x 2
まずは結果から、DDR5-4800とDDR5-5600の組み合わせでしたが、同じ要領のメモリ構成の時は、まったく同じでした。64GB (32GB x 2)のときは、4,400MHzの速度で、デュアル チャネルで動作、128GB (32GB x 4)のときは、2,000MHzの速度で、デュアル チャネルで動作となりました。
64GB (32GB x 2) Arc ARD5-U64G88HB-48B-D
ArcのDDR5-4800 32GB x 2 を使い、64GB (32GB x 2)の結果です。DDR5-4400相当でデュアルチャネルで動作しています。
64GB (32GB x 2) SanMax SMD5-U64G88H-56B-D
SanMax のDDR5-5600 32GB x 2 を使い、64GB (32GB x 2)の結果です。DDR5-4400相当でデュアルチャネルで動作しています。前節のArcの結果と全く同じです。
128GB (32GB x 4) SMD5-U64G88H-56B-D + ARD5-U64G88HB-48B-D
SanMax のDDR5-5600 32GB x 2 と Arc のDDR5-4800 32GB x 2 を使い、128GB (32GB x 4)の結果です。DDR5-4000相当(だと思う)でデュアルチャネルで動作しています。この組み合わせでは、メモリスロットの#1,#3にSanMaxのDDR5-5600 32GB x 2 を、メモリスロットの#2,#4にArcのDDR5-4800 32GB x 2 を装着しています。
128GB (32GB x 4) ARD5-U64G88HB-48B-D + SMD5-U64G88H-56B-D
SanMax のDDR5-5600 32GB x 2 と Arc のDDR5-4800 32GB x 2 を使い、128GB (32GB x 4)の結果です。DDR5-4000相当(だと思う)でデュアルチャネルで動作しています。
この組み合わせでは、メモリスロットの#1,#3に ArcのDDR5-4800 32GB x 2 を、メモリスロットの#2,#4にSanMaxのDDR5-5600 32GB x 2 を装着しています。
前節の結果とメモリスロットの組み合わせを逆にしただけです。結果は全く同じです。
OptiPlex Tower Plus 7010で各メモリモジュールをBIOSのOverviewで検証
以下の三つのメモリモジュールについて、OptiPlex Tower Plus 7010 のBIOSのOverview画面で確認しました。
- OptiPlex Tower Plus 7010 のDELL純正の DDR5-4800 8GB x 1
- Ark ARD5-U64G88HB-48B-D の DDR5-4800 32GB x 2
- SanMax SMD5-U64G88H-56B-D の DDR5-5600 32GB x 2
まずは結果から、どの組み合わせでも、OptiPlex Tower Plus 7010 は互換性のあるメモリとして判断され、動作することが確認できました。ただし、組み合わせにより、メモリの動作速度やチャンネルモードは異なります。最大速度では4400MHzで、デュアル チャネルで動作しました。
上記のメモリモジュールで2024年3月時点で販売中なのは、SanMax のメモリモジュールです。
このメモリモジュールを入手すれば、DELL製PCで互換性のあるメモリモジュールとして判断されることが分かりました。DELL純正のメモリモジュールよりかなり割安なので、経済的にメモリを増設することができます。
以下で詳細が確認できます。
OptiPlex Tower Plus 7010 のDELL純正の8GBメモリモジュール
DELL純正の8GBメモリは、DDR5-4800です。このメモリモジュールを一つだけOptiPlex Tower Plus 7010 に取り付けた場合、BIOS上では、8GBで4400MHz、シングルチャネルとして駆動されているることが分かります。
Ark ARD5-U64G88HB-48B-D
Ark ARD5-U64G88HB-48B-D 32GB x 2メモリは、DDR5-4800です。このメモリモジュールを二つOptiPlex Tower Plus 7010 に取り付けた場合、BIOS上では、64GBで4400MHz、デュアルチャネルとして駆動されているることが分かります。
SanMax SMD5-U64G88H-56B-D
SanMax SMD5-U64G88H-56B-D 32GB x 2メモリは、DDR5-5600です。このメモリモジュールを一つだけOptiPlex Tower Plus 7010 に取り付けた場合、BIOS上では、32GBで4400MHz、シングルチャネルとして駆動されているることが分かります。
このメモリモジュールを二つOptiPlex Tower Plus 7010 に取り付けた場合、BIOS上では、64GBで4400MHz、デュアル チャネルとして駆動されているることが分かります。
各メモリモジュールの組合せののまとめ
OptiPlex Tower Plus 7010において、各メモリモジュールの組み合わせの結果をまとめると以下の表になります。どの組み合わせでも、メモリモジュールが2枚以下の組み合わせでは、4,400MHzの上限速度で動作しています。実際には試していませんが、メモリモジュールが3枚以上の組み合わせでは、Precision 3660と同様に上限速度では動作せず、速度が下がると思われます。
OptiPlex Tower Plus 7010のメモリを最高速で動作させたい場合は、2枚のメモリモジュールで構成する必要があります。それを満たす最大メモリの組み合わせは、32GB x 2 であり、最大64GBとなります。
組合せ | 8GB x 1 DDR5-4800 DELL純正8GBメモリ | 32GBx2 DDR5-4800 ARD5-U64G88HB-48B-D | 32GBx2 DDR5-5600 SanMax SMD5-U64G88H-56B-D | BIOS上のOverview画面の表示 |
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#1 | x 1 | 8GB 4,400MHz シングルチャネル | ||
#2 | x 2 | 64GB 4,400MHz デュアルチャネル | ||
#3 | x 2 | 64GB 4,400MHz デュアルチャネル |
DDR5を使うDELL製PCで2024年3月時点で入手可能なメモリモジュール
DELL製PCで、純正でないメモリモジュールを使う場合は、SPD情報にXMP情報やEXPO情報が収められていないものが必要です。
ARKが扱っているDDR5のメモリモジュールの中で、DELL製PCに互換性のあるメモリモジュールの候補に以下の二つがありました。
- SanMax SMD5-U64G88H-56B-D 「SKhynix Edition」
288pin DDR5-5600 CL46 64GB(32GBx2枚組) 1.1Volt JEDEC/SPD - ARK ARD5-U64G88SB-56B-D「Samsung Edition」
288pin DDR5-5600 CL46 64GB(32GBx2枚組) 1.1Volt JEDEC/SPD
今回、前者のSanMaxメモリモジュールについては、実際に入手し、Precision 3660やOptiPlex Tower Plus 7010で動作することを確認しました。
後者のARKメモリモジュールについても同様に動作すると思いますが、実際に入手しての確認はしていません。実際に入手する場合は、自己責任でお願いします。
今回の投稿は、DELL Precision 3660やOptiPlex Tower Plus 7010で利用できる2024年3月時点でも入手可能なメモリモジュールについての動作確認の報告でした。