今まで各PCに個別に保存していたデータを集中管理するためにNASを導入することにしました。
NASという言葉はシンプルですが、NASの製品にはいろいろなものがあり、ホーム向けやビジネス向けなど用途や種類は多岐にわたります。
NASメーカーと製品ブランド
NASのメーカーは、国内から海外まで多岐にわたります。日本のメーカーであれば、BUFFALO (バッファロー)やI-O DATA (アイ・オー・データ機器)などがあります。海外のメーカーであれば、台湾Synologyや台湾QNAPや米国NETGEARなどがあります。
また、多くのメーカーでは、NASの製品にブランド名をつけています。主なブランド名は以下の通りです。ただしデータ冗長性の機能(RAID機能)を持たない製品ブランドは括弧で記載しています。
メーカー | NAS製品の製品ブランド名 |
---|---|
日本 BUFFALO (バッファロー) | LinkStation / TeraStation |
日本 I-O DATA (アイ・オー・データ機器) | LAN DISK / (Soundgenic) / (RECBOX) |
台湾 Synology | DiskStation |
台湾 QNAP | – |
米国 NETGEAR | ReadyNAS |
ここにあげた日本メーカーは、NAS以外にも多くの製品を扱ってり、日本の代表的な周辺機器メーカーです。これらのメーカーのNASは、主にHDD付きのNASとなります。導入時はNAS製品を購入するだけで、別途HDDを購入する必要はありません。
台湾のメーカーであるSynologyやQNAPは、NAS製品を主力事業としているメーカーです。これらのメーカーのNAS製品にはHDDはついておらず、ディスクレスのNASキット製品です。NASキット製品の場合は、導入時にHDDを別途用意する必要があります。
米国のメーカーであるNETGEARは、代表的なネットワーク機器メーカーです。このメーカーのNAS製品は、HDD付きNAS製品と、ディスクレスのNASキット製品の両方がラインナップされています。
製品の種類の選択
どの製品にするかを検討するうえで、以下の二つのどちらのタイプの製品にするかを決める必要があります。
- HDD付きのNAS製品
- ディスクレスのNASキット製品
HDD付きNAS製品
前者の「DD付きのNAS製品」の場合、購入してすぐにNASとして使えます。HDDを格納するためのHDDベイには、はじめからすべてのベイにHDDが組み込まれています。あとから、空きベイにHDDを追加して、容量を増やすことはできません。将来にわたって必要な容量を想定して、購入時に適切なサイズの製品を購入する必要があります。
故障時は、NASの基板や電源などの筐体部分、HDDのどちらが壊れても修理はNASメーカーがすることになります。
このタイプは、はじめから多い容量のNASを用意することになるため、導入時のコストは高くなりがちです。
ディスクレスのNASキット製品
後者の「ディスクレスのNASキット製品」の場合、NASキット製品の購入だけでは、NASとして利用できません。HDDを格納するHDDベイにはHDDが入っていないからです。そのため、必要数のHDDも購入し、HDDベイにセットする必要があります。導入時に多いHDDベイがあるモデルを入手すれば、はじめは少ないHDDで使い始め、容量が追加で必要になったら、空きベイにHDDを追加して容量を増やすという運用をすることができます。
故障時は、NASの基板や電源など筐体の問題はNASキットメーカー、HDDの問題は、HDDメーカーが修理することになります。
このタイプは、導入当初のHDDの数を減らすことができるため、導入時のコストは安くなりがちです。ただし、冗長構成をとるためには、最低2ベイ必要となります。将来の拡張を考えているのであれば、3ベイ以上のモデルが必要となります。
製品の機能の選択
今回、NASを導入するにあたり、以下の機能が欲しいと思っています。
- データ冗長性 (一台のHDDが壊れてもデータを失わないこと)
- 容量の拡張性 (後から容量を増やせること)
- 遠隔同期機能 (遠隔にある2台のNAS間でデータ同期とれること)
- インターネットから限定されたファイルにアクセスできること
これらの機能が有料の追加機能ではなく、基本機能として備わっているものにしたいです。それぞれの機能の詳細は以下の通りです。
データ冗長性
データの冗長性は、NASを構成している一台のHDDが壊れただけでは、データを失わないことををさしています。そのため、HDDは、少なくとも2台以上での運用となります。データの冗長性を実現する方法としては、RAID機能が一般的です。RAID機能の構成で冗長性を持つものは、RAID1以上の構成となります。
したがって、RAID1以上が使えることが必須です。ただ、あまり深く考える必要はありません。複数のHDDベイを持つNAS製品で冗長性のあるRAID構成ができないものはないと思います。そのため、HDDベイの数のみを気にすればよいことになります。
容量の拡張性
この容量の拡張性は、運用開始後に後から容量を増やせることをさしています。空きHDDベイを使って後から増やすことができるものにしたいです。そのため、HDDベイの数は最低3つ以上となります。
また、HDDを2個での運用から3個以上での運用に切り替えるときは、RAID1からRAID5などにRAID構成を変更することになります。そのため、RAID構成を運用開始後にデータを失うことなしに変更可能なものである必要があります。
遠隔同期機能
遠隔の2台のNASでインターネット経由などでフォルダーの同期ができる機能です。遠隔地のNAS間でデータの同期ができれば、片方のNASが自然災害や火事などに被災してもデータを失うことがありません。
インターネットから限定されたファイルにアクセス
特定のファイルやフォルダーをインターネット経由でアクセスできるようにする機能です。ファイルを共有したいときに使いたいと思います。セキュリティの問題もあるので、無制限ではなく、ファイル単位やフォルダー単位にアクセス制限の機能も必要です。
製品の選択
製品の種類
製品の種類、すなわち、「HDD付きNAS」か、「ハードディスクレスのNASキット」かについては、後者の「ハードディスクレスのNASキット」にします。やはり、将来にどれくらいの容量が必要になるかの予測が難しいため、あとで容量を拡張できるものにします。
HDDベイは4つ以上があるものにしたいと思います。
製品の機能
先に列挙した必要とする機能は、NASにとって基本的な機能であるため、どの製品でも満たしていると思います。
製品のメーカー
製品のメーカーは、ディスクレスのNASキット製品とする時点で、国内メーカーは対象にならず、海外メーカーのみに絞られます。それでも候補は3社あります。NASを主力とするメーカーはNASのOSについて、セキュリティに関するものだけでなく、機能向上を含む定期的な更新をしています。そのため、NASを主力とするメーカーにしたいと思います。NASを主力事業とするメーカーとなると、SynologyとQNAPになります。
Synologyは以前から気になっていたメーカーでもあります。そのため、今回導入するNASはSynology製のNAS製品とします。
製品のモデル
メーカーが決まったら、あとはどのモデルにするかを検討します。
今回は、HDDベイの数が4つ以上と決めたので、ある程度、製品は絞られます。Synologyのサイトでは、NAS製品をいろいろな条件で絞れるようになっています。
たとえば、HDDベイの数が4個から6個で、筐体がデスクトップタイプの場合は、このURLで確認できます。
以下に上記の条件の製品を列挙します。
- DS1621xs+ (6ベイ) (¥199,900 Amazon 2020年11月時点)
- DS3018xs (6ベイ) (¥164,702 Amazon 2020年11月時点)
- DS620slim (6ベイ、2.5インチのみ) (¥62,073 Amazon 2020年11月時点)
- DS420+ (4ベイ) (¥58,900 Amazon 2020年11月時点)
- DS920+ (4ベイ) (¥66,900 Amazon 2020年11月時点)
- DS1520+ (5ベイ) (¥87,800 Amazon 2020年11月時点)
- DS1621+ (6ベイ) (¥109,500 Amazon 2020年11月時点)
- DS418 (4ベイ) (¥48,600 Amazon 2020年11月時点)
- DS420j (4ベイ) (¥36,900 Amazon 2020年11月時点)
- DS419slim (4ベイ、2.5インチのみ) (¥43,827 Amazon 2020年11月時点)
SynologyのNAS製品のモデル名の規則について説明します。モデル名がDSxxyyzzとした場合、以下の通りです。
- DS: DiskStationの略
- xx: サポートするドライブ数
(HDDベイの数ではありません。拡張ユニットを使ったときの最大ドライブ数です) - yy: モデル年度
(たとえば2020年モデルの場合は20です) - zz: 製品の特長を表す記号です。
+ならPlusシリーズ。slimなら2.5インチベイモデル。xsならxs+/xsシリーズなどです。なお、+シリーズは仮想環境が利用できます。
今回の用途のNASとして、xsシリーズは、10GbpsLANに対応しているなどオーバースペックかつ、かなり高価です。今回は、その一つ下のシーズであり、仮想環境が使うこともできるPlusシリーズにします。また、HDDベイは、3.5インチHDDが使えるものとします。
すると、以下のモデルに絞られます。
- DS420+ (4ベイ) (¥58,900 Amazon 2020年11月時点)
- DS920+ (4ベイ) (¥66,900 Amazon 2020年11月時点)
- DS1520+ (5ベイ) (¥87,800 Amazon 2020年11月時点)
- DS1621+ (6ベイ) (¥109,500 Amazon 2020年11月時点)
最新の21年モデルであるDS1621+も少し考えました。しかし、CPUにAMD Ryzenが使われており、かなり高スペックです。その分、値段も高く、安い販売店でも10万円を超えてしまいます。高くても10万円以下としたいです。
DS1520+
最終的には、5ベイのDS1520+としました。これでもオーバースペックの可能性が高いのですが、拡張性がありこれでよいことにします。
利用想定としては、はじめは2ベイを使ったRAID1で運用を開始し、必要な容量が増えてきたら、ドライブを増やして、RAID5で運用します。外部接続の拡張ベイユニット(DX517)は使う予定はありません。
実際に購入したら、使用開始前にできることをいろいろ試してみたいと思います。
以上、導入を検討しているNAS選びの投稿でした。
“NAS DiskStationの導入 #1 デバイスを選択” への2件の返信