自動車は、自家用であれば、2年ごと(新車の最初の車検は3年)に車検(継続検査)を受ける必要があります。中部運輸局 岐阜運輸支局の検査場でユーザー車検(持ち込み継続検査)を受けてきました。今回は後半の投稿です。
ユーザー車検(持ち込み継続検査)は大まかには以下の手順で行います。
- 自動車の点検・整備
- 運輸支局の継続検査の予約
- 民間テスター場で事前検査・調整 (任意)
- 運輸支局の検査場へ持ち込み検査
民間テスター場での事前検査・調整は必須ではありません。しかし、光軸の調整が必要(ランプ交換したときなど)とか、サイドスリップの調整が必要(タイロッドエンドを交換したなど)とかがある場合は、民間テスター場での事前検査・調整で直してもらうと、本番の検査で失敗することはほぼなくなります。
1番から3番までの前半は前回の投稿で説明しました。今回は、4番の後半の投稿です。
運輸支局の検査場へ持ち込み検査
中部運輸局 岐阜運輸支局の敷地には
- 支局のオフィス
- 支局の検査場
- 自動車会議所
の建物で構成されています。
中部運輸局 岐阜運輸支局のオフィスは以下の写真の建物です。
自動車会議所の建物は「岐阜県自動車会館」という名称です。運輸支局のオフィスの隣にある建物で、隣り合う場所にはドアがあり、建物を相互間に移動できるようになっています。
検査場では、以下の手順で進めます。
- 検査前の手続き (書類の準備)
- 検査 (検査ライン)
- 検査後の手続き (検査標章と新車検証の取得)
岐阜運輸支局および自動車会議所には多くの窓口があります。
ユーザー車検による継続検査の場合に関係する窓口は、
- 岐阜運輸支局の継続検査 検査証交付窓口 (6番窓口)
- 岐阜運輸支局の持ち込み有効期間更新窓口 (7番窓口)
- 岐阜運輸支局の検査関係相談・ユーザー車検窓口 (8番窓口)
- 岐阜県自動車会議所内の印紙・証紙の販売窓口 (10番窓口)
- 岐阜県自動車会議所内の自賠責保険契約窓口 (11番窓口)
です。
窓口の8番、10番,11番は検査前の手続きで利用します。窓口の6番,7番は検査後の手続きで利用します。
検査前の手続き (書類の準備)
検査前には、書類などを準備して、検査の申請をします。大まかな手順は、以下の通りです。
- 申請書類(3枚)を入手
- 申請書類の記入
- 自動車重量税の確認
- 自賠責保険の契約
- 重量税・検査料の印紙の購入
- 印紙・証紙を申請書類へ貼付け
- 書類を確認してもらう
申請書類(3枚)を入手
運輸支局の8番窓口で申請書類を入手します。窓口の前のレターケースに無記名の書類が置いてあります。しかし、車検証のQRコードを右側にあるQRコードリーダーで読み込むと、車検証から読み取れる情報が記載済みの申請書類を印刷されますので、それを利用すると書類への記入が楽になります。
申請書類の記入
車検証のQRコードを読み込んで印刷した場合、大部分は記入済みとなっていますが、一部記入する必要があります。
記入例は、8番窓口の対面にある書類記入エリアに見本が置いてあるので、それに従って記載します。
自動車重量税の確認
自動車重量税の金額を事前に確認済みであればよいですが、自動車重量税の額がわからない場合は、8番窓口で自動車重量税の額を調べてもらうことができます。
自動車重量税は、自動車の種類や経過年数により金額が異なります。8番窓口で調べてもらうときは、車検証を提示することで、正確な金額を教えてもらえます。
自動車重量税の額がわかったら、その金額の収入印紙を購入することになります。
自賠責保険の契約
継続検査を受けるためには、継続後の全期間をカバーする自賠責保険の契約が必要となります。多くの場合、既存の自賠責保険の終了日から始まる2年間の新規契約をすることになります。自動車会議所の11番窓口で自賠責保険の契約ができます。
重量税・検査料の印紙の購入
重量税の印紙と継続検査の検査料の印紙・証紙を用意します。自動車会議所の10番窓口で購入できます。窓口では、自動車重量税の額と続検査手数料の額(もしくは継続検査する自動車の種類(小型自動車、普通自動車))を伝えれば、必要な印紙、証紙を用意してくれます。
持ち込み継続検査手数料は、2023年1月1日に変更があり、2023年1月現在で、
- 小型自動車は合計2,200円 (500円+1,700円)
- 普通自動車は合計2,300円 (500円+1,800円)
です。小型自動車は5ナンバーおよび7ナンバーの自動車です。普通自動車は3ナンバーの自動車です。
自動車重量税は、継続検査する自動車の種類や経過年数により異なります。もしわからない場合は、8番窓口で教えてもらうことが可能です。
印紙・証紙を申請書類へ貼付け
印紙・証紙を購入したら申請書類へ貼り付けます。10番窓口の対面のテーブルに印紙・証紙を貼るために使える水分を含んだスポンジも用意されています。それを利用して、印紙を自動車重量税納付書(ピンク色の用紙)に、継続検査手数料の印紙・証紙を自動車検査票(青色の文字の用紙)の指定の場所に貼り付けます。
書類を確認してもらう
書類の準備ができたら、8番窓口で書類の確認をしてもらいます。この時点で必要な書類は、以下の通りとなります。
- 自動車検査票 (印紙・証紙を貼付け済みのもの)
- ORC申請書
- 自動車重量税納付書 (印紙を貼付け済みのもの)
- 車検証
- 自賠責保険証 (新旧2枚)
- 点検整備記録簿
書類に不備があればその箇所を教えてくれますので、その点を修正して、再度確認してもらいます。確認の結果で問題なければ、次は検査です。自動車で検査場に移動します。
検査 (検査ライン)
検査場では、自走して検査ラインに移動します。検査が開始すると、音声案内が流れるので、それに従って、検査を進めます。前の自動車の検査の操作方法を見ているとおおよその操作はわかります。もし、操作がわからなかった場合、周辺にいる検査員に「ヘルプミー」みたいな「助けてー!!」の合図を送ると、周辺にいる検査員が操作の手助けしてくれます。
大まかな検査の手順は以下の通りです。
- 外観検査 (ヘッドランプ、スモールランプ、バックランプ、フォグランプ、ウィンカー、ワイパー、タイヤ、エンジンルーム、総走行距離、車台番号など)
- 排ガス検査
- サイドスリップ検査
- 速度メーター検査
- ブレーキ検査
- ヘッドライト検査
- 下回り検査
などです。
自動車から降りてする作業は、
- 外観検査で車台番号を確認するためにボンネットを開けるとき
- 排ガス検査で排気管にセンサーを入れるとき
- 各検査終了時に結果を記録(スタンプ)してもらうために自動車検査票を記録器に入れるとき(複数回)
です。それ以外は、音声案内に従って運転席から作業します。
外観検査は、検査ラインの順番待ちをしているときに、検査員が来て実施されます。検査員の指示に従って、ライトを付けたり、ウィンカーを付けたり、ワイパーを動かしたりします。
排ガス検査では、排気管に排ガスセンサーを入れたあと、検査機の前の待機エリアの上で待つと、検査が始まります。排ガス検査が終わったら、自動車検査票を記録器に入れて、結果を記録します。
サイドスリップ検査では、ハンドルを固定して自動車をまっすぐ前進させるだけです。
速度メーター検査では、音声案内に従い、前輪(駆動輪)を指定の場所に移動した後に、アクセルを踏み加速して、指定の速度に達したところで、パッシングすることで合図します。
ブレーキ検査では、フットブレーキとパーキングブレーキの検査を行います。音声案内にしたがい、ブレーキを効かせたり、離したりします。
ヘッドライド検査では、ライトをつけると、検査機が自動的に検査を始めます。
下回り検査では、自動車を指定の位置に移動したら、地下にいる検査員が下回りの検査をしてくれます。
すべての検査が終わったら(失敗した検査があったとしても)、検査ラインの出口のところにある窓口に用紙を提出して、結果を確認してもらいます。
すべての検査に合格している場合は、検査は終了で、オフィスの7番窓口に行くように案内されます。
検査の項目に一つでも不合格がある場合は、問題の箇所を直してから、もう一度検査ラインにならび、再検査を行います。この場合は、再検査となるので、すべての検査をやり直す必要はなく、不合格であった検査項目のみを再実施することになります。
再検査は同日であれば、特に申請は必要なく2回までは再検査をすることができます。再検査は予約したラウンド以外のラウンドであっても可能です。同日中に3回以上の再検査を行いたい場合は追加申請(手数料が発生します)をすれば可能です。
同日中に問題箇所を直せない場合は、後日再検査を行うことになります。この場合は、8番窓口で後日再検査を受けることを伝えて「限定自動車検査証」を交付してもらうことになります。
限定自動車検査証
「限定自動車検査証」とは、継続検査等において保安基準に適合しない場合、 自動車検査証を返付しない事となっているが、整備を目的とする場合等のため自動車を運行できるよう交付するものです。
15日間を上限とした検査申請時点の 自動車検査証の残存有効期間内は、整備等のため運行する事ができる。検査申請時点で自動車検査証の有効期間が切れていたり残存有効期間を過ぎた場合の運行には臨時運行許可証が必要です。
限定自動車検査証の提出による検査申請とは
- 限定自動車検査証の有効期間は検査日より15日間ですが、限定自動車検査証での運行ができる期間ではありません。
- 有効期間内であれば不適合箇所を整備した後、限定自動車検査証の提出による検査申請を行う事ができます。この場合、検査手数料は「限定自動車検査証の提出がある場合」の金額となり、持込検査の場合〔自動車審査証紙1,300円+自動車検査登録印紙500円〕となります。
限定自動車検査証の提出による検査申請の方法は
- 限定自動車検査証の有効期間内であれば、事前予約の必要ありません。
- 運輸支局窓口で必要書類の確認を受けてから、検査場で必要箇所の検査を受け合格後、運輸支局窓口で新しい自動車検査証の交付となります。
- 必要書面は申請書等当初の申請と同じですが、自動車損害賠償責任保険期間等に注意してください。
- 限定自動車検査証の提出による検査申請は、持込検査の他、指定自動車整備事業者が発行する限定保安基準適合証による方法があります。
- 限定自動車検査証の有効期間満了後の検査申請は、新たな継続検査の申請となります。
検査後の手続き (検査標章と新車検証の取得)
検査場での検査に合格したら、7番窓口に書類を提出します。このとき、窓口の右側にある番号札発券機で番号札を発券し、番号札の半券を書類に添付して提出します。
新しい車検証が準備できると、6番窓口から「車検証・検査標章・自動車検査証記録事項を印刷した用紙」が交付されます。
なお、2023年1月4日より、車検証が電子化されました。それに伴い、今までA4サイズであった車検証は、A6サイズに小さくなりました。そして、車検証にはICチップが埋め込まれています。
電子化された車検証には、所有者や使用者の情報は印刷されていません。それらの情報はICチップに保存されています。情報はスマホアプリで確認できるほか、新車検証が交付されるときに、自動車検査証記録事項として内容が印刷した用紙も交付されるので、それにより確認することもできます。
交付された検査標章は、自動車のフロントガラスに貼る必要があります。検査標章を貼る位置は、2023年1月から変更になっています。そのため、古い検査標章が貼ってあった同じ位置に貼ると、違反になる可能性があります。正しい位置にあるようにしましょう。
以前までの位置は「バックミラー(ルームミラー)がある車はフロントガラス内側の上部に、ない車は運転者席から最も離れた位置のフロントガラス内側の上部に貼り付ける。フロントガラス上部が着色されている場合は、確認できる位置まで下にずらして貼り付ける」でした。
2023年1月から適用される新しい位置は「前面ガラスの運転者席側上部で、車両中心から可能な限り遠い位置」と定義されています。そのため、フロントガラスの運転席側のドア側の一番上となります(右ハンドルの自動車ならフロントガラスの右上)。間違えないようにしましょう。正しい位置に貼らないと違反となりますので注意しましょう。
以上、ユーザー車検(持ち込み継続検査)に関する投稿でした。